赤とんぼ６ ページ23
和「ここに、お兄ちゃんたちがいるの？」
二人が連れてこられたのは、街外れの廃屋。
普段、人が滅多に行くことはないし、和也と潤も学校の先生に行くことを禁じられている場所だった。
潤「…くらいね…。」
和「うん…。」
男１「まぁ、待ってろって。もうすぐ来るからさ。」
と、その時。
ドン!!という轟音と共に、廃屋のドアが勢いよく吹き飛び、衝撃で埃が舞い上がる。
翔「和也！潤！！」
埃で視界を遮られている二人に聞こえたのは、翔の声だった。
和「しょう兄ちゃん！」
和也と潤が翔の元に駆け寄ろうとしたが、後ろから押さえられた。
潤「わっ！？」
和「なにするんですか！はなせ！！」
じたばたと暴れてみるが、小学校一年生が高校三年生に敵うはずはない。
男１「人質は、大人しくしてやがれ。」
翔「弟達を放せよ。関係ねぇだろ。」
翔がこちらへ歩いてくる。
その顔は、冷酷だった。
男１「お前らに、こんなに小さな弟がいたとはなぁ。」
翔「人の話を聞け。弟達を巻き込むんじゃねぇよ。」
普段は聞くことのない、翔の低い声。
ここにきて、ようやく和也と潤は、自分達の立場が分かった。
自分達を人質にして、兄二人を呼び出したんだと。
知らない人について行ってはいけないと、両親から散々言われていたのに、付いてきてしまった結果だった。
潤「…グスッ…しょう兄ちゃん、ごめんなさい…」
和「ヒック…」
泣き出してしまった弟達を、翔は優しい目で見る。
翔「兄ちゃん達こそ、ごめんな。側にいてやらなくて…今助けるから。恐かったら、目瞑って、耳塞いでろ？」
うん、と首を縦に振り、和也と潤は言われた通りにする。
男１「お前がそんなに弟想いだったとはな。」
智「…当たり前だろ？まぁ、可愛い弟はもう一人いるんだけどね。」
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作成日時：2013年1月31日 23時
