肉まん ページ3
雅「俺が行方不明？」
翔「…おまっ！どこ行ってた！？」
翔は駆け寄り、雅紀の肩を両手で掴んだ。
雅「コンビニ。」
小腹空いたから、肉まん買って来たんだと、満面の笑みで言われ、翔は肩を落とした。
雅「え！？翔ちゃんも食べたかった？それともあんまんが良かった？」
翔「…いや、どっちもいらない…」
智「雅紀、顔色良くないけど、ちゃーんと寝てる？」
それまで黙っていた智が、聞いてきた。
優しいけれど、どこか厳しいその口調に、雅紀は口篭る。
昔から、嘘をつくのが兄弟で一番下手だった。
雅「…え、あぁ、うん！！大丈夫だよ！！」
翔は、自分より背の高い弟の額に手を伸ばす。
少し熱っぽいその額に、苦虫を噛み潰したような顔をした。
翔「…雅紀。お前、肉まん買いに行くまで、起きていたのか？」
雅「…あ、えっと…その…少しだけ…。学校、休んでたから勉強してた…ごめんなさい…」
まるで、いけないことをして叱られている子供のように、雅紀がうなだれる。
実は、雅紀は病み上がりだった。
元々体が弱く、特に冬になると風邪をひいて寝込んでいることの方が多い。
風邪で終わるならまだしも、頑張り屋さんな性格が災いして、他の病気を併発してから兄弟が気付くことも多々ある。
今回は風邪で済んだが、昨日ようやく学校に復活したばかりだった。
智「雅紀、勉強頑張るのも大事だけど、自分の身体も大切にしなきゃ…ね？」
さっきとはうってかわって、智が優しく話す。
雅紀が小さく頷くと、翔がベッドに促した。
翔「ほら、寝てろ！」
雅「え、でも…」
智「今寝ておかないと、今日のバイト休むって連絡するよ？」
雅「寝ます！寝ます！！」
雅紀が慌ててベッドにもぐりこみ、翔が額に冷えピタを貼った。
翔「時間になったら、起こしてやるから。」
雅「うん、ごめんね…お願い…」
やはり、病み上がりの身体は正直で、トントンとリズムよく布団の上から叩いてやれば、あっという間に雅紀は寝た。
智「寝ちゃったねぇ。」
いくつになっても変わらない弟の寝顔に、思わず笑みがこぼれる。
翔「ね。病み上がりなのに、何をそんなに頑張っているんだか…」
智「ん〜？多分、これだよ。」
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作成日時：2013年1月31日 23時
