夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ20)

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赤とんぼ３ページ20

雅「今日の夕飯は何かなぁ？」

キッチンに入ると、冷蔵庫に貼られた一枚の紙。

『雅紀へ夕飯はカレー作ったから、それ食べて。智』

誰に言うでもないのに「はぁい」と返事をして、雅紀はカレーが入った鍋を温め始めた。

潤「…おいしくない。」

一口食べて、潤が言う。

雅「そんなこと言わないの。忙しいのに、兄ちゃん達が作ってくれたんだから。」
和「じゃぁ、まー兄はおいしいって、おもうんですか？」
雅「…ううん。」

三人だけの食卓も、美味しくないご飯にも、もう慣れた。
美味しくないのは、兄が作ったからなのか、家族皆が揃っていないからなのかは、この時の三人には分からない。

夕飯を食べ終えると、先に弟達をお風呂に入れ、雅紀は食器を洗う。
確実にさっきより頭痛が酷くなっているが、両親も兄達もいない今そんなことは言えないと、雅紀は首を振る。

雅「…智兄ちゃん…翔兄ちゃん…」

ポタポタと流れる涙を、誰も知ることはなかった。