夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ19)

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赤とんぼ２ページ19

最近、髪を金に染めピアスを開けたすぐ上の兄に、雅紀は少しだけ遠慮をしていた。
返してくれる笑顔は以前と変わらないのに、何故だか恐かった。

雅「えっとね…ここが解らないの…」
翔「これ？お前なぁ、これは、こうして。」

雅紀に宿題を教えていると、翔の携帯が鳴った。
画面を確認し険しい顔になった翔を見て、雅紀はその瞬間兄が遠くに行ってしまった気がした。
電話に出る低い声が、それを更に増長させる。

翔「…俺。うん…うん…はぁ？！分かった。」

電話を切ると、携帯をポケットに入れながら翔が立ち上がる。

翔「雅紀、兄ちゃんちょっと出かけてくる。」
雅「え？今から？」

時計は５時を指していた。
両親は昨日から海外に出張中で、智も今は出かけているようだった。

翔「わりぃな。遅くなるかもしれないから、先に寝てろ？」
雅「…うん。」

翔は雅紀の頭をグシャグシャと撫で、そのまま出かけた。
玄関が閉まる音を聞き、雅紀は教科書とノートを抱き抱え、翔の部屋を出た。

リビングに行くと、弟達がゲームをしていたらしく、コントローラーを手にしたまま、雅紀を振り返った。

潤「まー兄、しょう兄ちゃんは？」
雅「お出かけしちゃった。」
和「きょうもいないんですか？」
雅「…多分。」

窓の外は、暗くなり始めている。
最近、両親は仕事が忙しいらしく、家にいないことが多い。
留守を任されているはずの智と翔も、先ほどのように「ちょっと出かけてくる」とだけ残し、家を空けることが殆どだった。

雅「…あ、ちょっと早いけど、もうご飯にする？」

空気を察した雅紀が、わざと明るく話す。
ちょっと頭が痛い気がするけど、気のせいだと飲み込んだ。