般若�� ページ6
飛び道具を使うやつもいるのか…面倒なことになった
かわるがわる攻撃をしてくる般若の男達の攻撃を避けながら、攻撃の機会をうかがう。
「珍しい黒狐なだけあって一筋縄ではいかないようですねぇ…ならば」
男は頭骸骨に手を置くともう一度唵と呟いた。
カタカタと揺れだす頭蓋骨。尋常ではない妖気が溢れ出す。
「ッ…！？まさか…」
「狂骨ですよ、ただの狂骨ではありませんが、あなたに言っても無駄でしょう。」
狂骨の一匹くらい倒すのにわけないが…なんだこの違和感は…
「さあ、狂骨！その狐を喰らいなさい！」
髑髏から不気味な紅い目が光る。それと同時に地面を大きく揺らして襲いかかってくる狂骨。思っていた何倍も素早い。僕は攻撃をかわすので精一杯だった。
「……っく！」
地面がぐらつき、バランスを崩す。しまった……！そう思った時にはもう遅い。狂骨の爪が僕を襲う。なんとか急所は外したものの右腕にざっくりと傷がつき、血が滴る。
「ぐッ……」
「そのまま狂骨に喰われなさい」
激痛が襲う、痛みで動きが鈍る。どうする…狐火を使えばこの一撃は防げる。しかし…
後ろにちらっと目をやる。
この至近距離では腰を抜かした女将も巻き込んでしまう。しかしそんなことを考えている場合か…人間なんてこの身を賭して守る価値もないもの。その上僕を殺そうとした女将を庇う必要なんてあるのか…？
「がっ…！」
狂骨の攻撃が僕の顔を切り裂く。痛みで力が入らず、よろけた僕に女将が戸惑いの声を漏らす。
「な、なんで私を庇って…」
「勘違いするなよ…貴女を庇ったわけではない……僕はただ旦那様に……」
だめだ…もう喋ることも煩わしい。失血で手先が寒い。立っているがもうやっとだ。
最後の力を振り絞って湖に飛び込む。
「追いましょうか？」
「あの傷ではもう長くないでしょう…それに“あそこ”に近づくことは許されていない…それと……」
男は依然として地面に這いつくばった女将にチラッと目をやった。
「承知致しました……」
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←般若
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：どり | 作成日時：2024年1月5日 21時
