四季桜守 (ページ10)

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第２章【winter】ページ10

～冬島風花の実体～

この世で一番に落ち着く場所、そう聞かれれば直ぐ様「図書室」と答える。

たくさんの本。

それはたくさんの人の思いの結晶なのだと思う。

暇さえあれば図書室の日々、図書委員長であるミノリ先輩とはすでに顔馴染みだ。

「返却お願いします」

「はぁい。風花ちゃんってさ、本当読むの早いよね」

「そうですか？」

「そうよ！今日はそんな風花にオススメの本があるんだ。えーと、ちょっと待ってて」

何だろうと思いながら待っていると、ミノリはいかにも見た目も内容もおもめかしい本を抱えてやって来た。

それは淡い桃色のカバーに金の刺繍で『春夏秋冬』と書かれている。

「ジャーン！今年から新たに発行された本だよ。内容はうちの学校の歴史と主に___」

「シキザクラですよね」

「大当たりー！どう、試してみない？」

ページの厚さを見て、正直読む気が失せた。

しかし相手が怒ると手に追えないと評判のミノリだったので、やむを得ず引き受けた。

(学校の歴史の本なんか何で私に？)

家に帰ってからそのページを開くと、その文字の量にますます気力がなくなっていく。

ところどころにカラー写真の解説があるものの、さすがの風花でも苦労する。

そしてようやく読み終わった時、時計の針は夜中の２時を指していた。

そのまま何も食べず、ただシャワーだけを浴びてベットに横になる。

(もう今は何も考えたくない…)

そう思ったのは、本来貸し出しカードを挟むはずの本の裏ポケットに、ミノリからこんなメッセージが入っていたから。

・

お疲れ様！この『春の巻』の内容を私に教えて下さい。ちなみにあと３冊あるからよろしくね！

ミノリより