四季桜守 (ページ8)

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第２章【summer】ページ8

～夏井ひまわりの実体～

給食室に、ほんのりと優しい香りが立ち込める。

今日はカレーだ！

私もカレーは大好きだけど、Aちゃんは尋常じゃない。

「ねぇねぇ！ルーとご飯の割合はきっちり7:3にしてね！」

「Aちゃん…カレー好きなんだね。あ、私はその逆でお願いします！」

私の中でカレーは3:7と昔から決まっているのだ！！

ご飯をわずかに引き立てるほのかな辛みはもうたまらない！

炭水化物の素晴らしさといったら！…って私、だからこんな体型なんだった。

「いや、凄いのはひまちゃんだからね！何でご飯の方が勝っちゃうわけ？」

そんな議論の後に二人は互いを認めあい、独自のそれをめいいっぱい頬張ったのであった。

こんなにAちゃんと仲良くなれたのは、つい最近のこと。

大切だと言い切れる友達が出来たことが何よりも嬉しい！

今まで誰とも深い関係を築かなかった自分に、腹がたつぐらいだった。

「ところでさ、あの件について考えてくれた？」

「あの件？」

あの件。

分かっていたけど、わざととぼけてみせた。

だって今でもこんな自分が誘われたことを信じきれていないから。

「もう！ひまちゃんって以外に抜けてるところあるよね。あれだよ、桜守」

「あぁ、うん！そうだった。私ね、本当に私でいいなら……やるよ」

桜は大好きだけど何よりも、Aちゃんに誘われたことが嬉しい。

少しでも役にたてるなら、そう思って
返事をした。

その後のAちゃんの笑顔は、今でも忘れられない。