四季桜守 (ページ14)

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第３章【winter】ページ14

～冬島風花への挑発～

「先輩。『冬の巻』読み終わりました」

「ありがとう助かったよ。私ここまで本読むの慣れてないからさ」

「図書委員長なのに？」

「まぁね！」

嫌みの一つも華麗に流してしまうのが、ミノリのすごいところだった。

「ところで先輩。気になったことがあるんですけど。全部読んでから聞こうと思って」

「ん？何々？」

話す前に風花は『冬の巻』に残したミノリのメッセージカードを本人に見せた。

・
『冬の巻』お疲れ様！ここまで呼んだ風花なら桜守に興味あるよね！やってくれるよね！

ミノリより
・

「呼んでいて思ったことが、桜守ってただの植物管理だけじゃ終わらなさそうですね」

「その通り！これは桜守だけの秘密なんだけどね。この本も表向きは学校の歴史と桜の栽培についてで終わるけど、貸し出しも本来一般生徒は禁止だし」

「じゃ、じゃあ何で私にこの本を！？」

「戻れなくするため」

ミノリは真顔で言った。

風花はその場で凍りつく。

「なんちゃって！私が桜守の勉強するの面倒くさいから代わりにやってもらったのもある」

「…………」

そして改まってからミノリは告げた。

「風花、桜守やってくれるよね？」

風花は無言でその場を立ち退いた。

先輩の隠された陰謀に自分は見事はまったのだ。

(とは言え桜守って、本当は何するんだろう…？)

騙されたという悔しい気持ちを押し倒して、今は桜守への興味の方が強くあった。

昇降口を出て、校門へ向かう。

すると途中で見えるシキザクラに、蓮の姿があった。