第3章【spring】 ページ11
〜春風Aはじめての〜
「失礼します」
緊張しながらも、Aは恐る恐る3年2組のドアに手をかけた。
教室の中はクーラーによって程よく涼しい。
というよりも、それは緊迫感に近かった。
「お、来たね」
そこにいる四人のうち、第一声を発したのは図書委員長のミノリ。
彼女に続いて生徒会長のハナが口を開く。
「そんなに緊張しなくてもいいよ。私たち夜には普通に会ってる仲なんだから」
そう、Aを待ち構えていたのは、現在桜守をつとめる四人だったのだ。
リーダーを務めるハナ。
いつも冷静なサキ。
ムードメーカーのミノリ。
控えめで優しいツボミ。
毎晩この四人から桜守のいろはを教わる。
しかし昼間に呼ばれたことには事情があった。
サキの左足はギプスでしっかりと固定されている。
「…先輩。足は大丈夫なんですか?」
サキはポーカーフェイスを破り、少しだけ笑ってみせた。
「ちょっと部活でやらかしちゃってさ」
陸上部のエースである彼女は、今の桜守四人の中でも一番の強さがあった。
重々しい空気の中、ハナが口を開いた。
「サキが桜守を休むのって、結構大きいんだよね。誰かが代わりをやらないと」
ツボミは呟くようにそれをいった。
「Aちゃん。やってくれる…よね?」
予想外の展開に頭がまだついていかないが。
これは前代未聞の緊急事態だった。
「先輩の分まで私、頑張ります!先輩も早く良くなって下さい!」
そう言って、臨時としての桜守のバッチを、サキから預かることになった。
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ケロ - 登場人物の性格がハッキリしていてて、その人がどんな人なのかもっと知りたくなりました。時には思わず笑ってしまうような表現もあって読んでいて楽しかったです。とても続きが気になりました! (2015年7月21日 23時) (レス) id: 028c061540 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:midnight. | 作成日時:2015年5月17日 11時