36話 ページ37
あの後五日後に、華さんは山奥に屋敷を移した。
杏寿郎からは「騙すようなまねをしてすまない」と言われたが、特に気にはしていないというと安心したようにほほ笑んだ。
千寿郎くんについては、半泣きで謝られたから慌てて抱きしめ慰めた。
貴「あ、華さんから手紙だ」
華さんが山奥に屋敷を移して数日、私と華さんは手紙のやりとりをしている。
手紙を読んでいると、どうやら私の煮物が食べたくなってきたらしい。
貴「・・・久しぶりに作ろっかなぁ」
華さんが飛ばした伝書鳩に、少しだけ時間をくれる?と言って立ち上がる。
くつくつと煮られている野菜を眺めていると、華さんと過ごした日を思い出す。
そういえば、私の煮物を食べすぎて太ったって華さん言ってたっけ。
でも美味しいからやめられない、と言った華さんを思い出し笑う。
思い出し笑いをしているうちに煮物がぐつぐつと言い出し、慌てて火を止めた。
煮物を詰めて風呂敷に包み、先ほどの部屋へと戻る。
あ、やばい。この伝書鳩、煮物持てないかもしれない。
普段は手紙しか運ばない鳩だから、きっと持てないだろう。
どうしようか、と思案して指笛を吹いた。
すると、バサバサと黒い翼をもつ鴉が窓際に止まった。
そう、私の鎹鴉「リュウノスケ」である。
貴「リュウノスケ、悪いんだけどこの伝書鳩と一緒に煮物運んでくれる?」
リュウノスケ「報酬ハ倍モラウゾ」
貴「うん、リュウノスケの好きな人参いっぱい用意しとくから」
そう言うと納得したのか、伝書鳩と一緒にバサバサと去っていった。
その姿をしばらく眺めていると、「Aはいるか!」と声が聞こえた。
貴「杏寿郎、何?」
急いで玄関へ行くと、隊服に身を包んだ杏寿郎がいた。
あれ、杏寿郎任務あったっけ・・・なんて考える。
杏寿郎「緊急で招集がかかった!柱合会議らしいぞ」
貴「えっ、緊急?どうしたんだろう」
杏寿郎「詳しいことは、向こうで隠が説明してくれるらしい」
貴「ちょ、ちょっと待ってて。着替えてくる」
慌てて部屋へ戻り、隊服へ腕を通す。
貴「・・・・よし、」
最後に羽織を身にまとい、ひるがえした。
――終――
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にんにく - 煉獄さんがしのぶのところに足を運んでいたのは、てっきり華さんが妊娠でもしてるのかと思ってました!でも読み返してみたら、2話でも華さんが簪を指しても「買ってあげよう」とは言ってませんし、伏線?が散りばめられていたんですね…。続編楽しみです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: 315083b1b9 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 初めてこんなに続編が気になる作品に出会えました。これからの進展がすごく気になります!続編もすぐ読ませてもらいます! (2019年11月17日 13時) (レス) id: d43f11df13 (このIDを非表示/違反報告)
中二病者です!(プロフ) - 次の作品も続編も楽しみに待っています!だけど、冬の季節になったので体調には十分気をつけてくださいね!更新楽しみにしています! (2019年11月17日 7時) (レス) id: ab06cdee91 (このIDを非表示/違反報告)
はず - 作者様…!とても気になります!読んでいてとても楽しいです。更新頑張ってください!応援してます!! (2019年11月16日 18時) (レス) id: 91e1062183 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - おおお!!ついについに来るのか?来るべき時が来るのか?? (2019年11月16日 0時) (レス) id: 70d7a9e017 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みっど | 作成日時:2019年11月3日 21時