【鬼滅の刃】好きな人に婚約者がいるのですが【煉獄杏寿郎】

１話 ページ2

宇髄「お前はいいのか、このままで」

共に食事処にやってきた天元は、頼んでいた天ぷらを口にしてそう言った。

貴「なんならもう、一生円満でいられるように応援してるくらいだけど」
宇髄「嘘をつけ」

天元が言う「いいのか」とは、幼馴染である煉獄杏寿郎のことである。
私が彼に思いを寄せていることは、鈍い杏寿郎以外周知の事実だった。

十数年間片思いをしていたが、20歳になった杏寿郎に突如として婚約者が現れ、見事にその恋心は幕を閉じた。

千寿郎君の話によると、居酒屋で酔っぱらった槇寿郎さんが、現婚約者(名を塩崎華さんという)のお父さんと20歳になったら婚約させるという約束を昨年していたらしい。

ほぼ強制ともいえる婚約だったが、2人は今のところ仲良く過ごしている。
それはお互いの人柄があってこそだろうと思う。

貴「華さんもとてもいい人だし、杏寿郎も幸せそうだからねぇ」
杏寿郎のそういう話は聞いたことなかったから、と呟く。

華さんは、同性の私から見てもとても可愛らしい人。
華さんとは何度もお茶をしたり、買い物をしたりしてきた仲でもあり仲良しの部類だと思っている(勝手に)。

長く艶のある黒色の髪、花が咲いたような笑顔、女の子らしい言動。

綺麗というよりは可愛いと言えるその容姿は、鬼殺隊の中でも噂されていた。

宇髄「地味だなぁ。こういう時は奪うんだよ。略奪。煉獄を取り合え」
貴「いやいや待って、私悪女になりたくないんだけど」

一夫多妻の天元に、まともな恋の話は通じない。

嫌な顔一つせずに私の話を聞いてくれたのは、とてもありがたいけど。

実は今日の食事は、天元から誘ってもらったのだ。
私が落ち込んでいるのに感づいたから誘ってくれたのだろう。

こういう気遣いが、3人も嫁を貰ってもうまくいく秘訣なのか、なんて考える。

貴「ご飯誘ってくれてありがとね、天元。ちょっと元気出た」
宇髄「いやちょっとかよ」

２話→←設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す