君じゃなきゃダメなんだ…第3章 (ページ45)

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現実とは…　+(人１０)side ページ45

案の定、固まってしまってるA。

里佳子「ごめん、でも文也さんがくるって知ってたら、来なかったでしょ？」

私の方をちらりと見ると

A「それがわかっててどうして誘ったの？」いつになく険しいAの表情。

すると私とAの間に文也さんが

文也「里佳子ちゃんを責めないでよ。俺が無理を言ったんだ。どうしても、もう一度会って、あんな形で離婚に至ったこと、直接謝りたいからって…」

A「謝ってもらわなくて大丈夫よ。あなたの言ってることは至極普通だし、もう私たち終わってるんだから・・・」

一度も文也さんの方をみようとしないA。

里佳子「とりあえずは中に入らない？それともこのまま帰る？」

里佳子のこの言葉に少し冷静になれた。

でも思いのほか、顔が強張る。

文也「A、ごめん。こんな形で呼び出したりして・・・でもどうしてもあの時に心無い言葉で君を傷つけたことを謝りたいと思ったのは真実なんだ。」

視線を上げると私をまっすぐに見つめる文也の視線。

里佳子「実はね、今のAの就職先、私のつてじゃなくて、文也さんのなの。」

A「へっ？」

里佳子「ごめん…でも文也さんのつてだって言ったら、あんた受けなかったでしょ？」

文也「ごめん。俺がそういってくれって里佳子ちゃんに頼んだんだ。」

A「どうして？もう私とは何の関係もないはすじゃない。それなのに…」

文也「韓国で仕事してるのは人づてに聞いてた。それでAが幸せに暮らしてるなら、俺もこうやって会おうなんて思いもしなかった。

だけど里佳子ちゃんの話だと、そうじゃない感じで日本に戻ってくるって聞いて…少しでも力になれれればと、そう思って申し出たんだ。

あれから俺も色々とあって、今は小さいけどテレビ番組とかプロデュースをやってる会社を経営してるんだ。

ほんとはうちで働いてもらいたかったんだけど、それはAも嫌だろうから、知り合いのプロデューサーに声をかけて…」

そういうと里佳子を見た文也。

里佳子「中途採用にしては条件よかったでしょ、今の仕事。それは文也さんの配慮なの…

私も最初は今になってって、そう思った。

でもA、あんたに謝りたいという文也さんの気持ちは本物だと思うよ。」

確かに中途採用の私を待遇面やあらゆる条件面で厚遇してくれている今の会社。

それが私の実力や経験ではなかったという事実を突き付けられ、どうにもならないこの現実に途方に暮れてしまった。