生きる選択をしてほしい +（人6）side ページ44
− A −
今日は土曜日・・・
昨日の夜、亮ちゃんからLINEがあって…
RA『明日、亜美の病院に行こうと思ってるんだけど、付き合ってくれない？』
どういう意図なのか全部はくみ取れないけど、亮ちゃんの覚悟をちゃんと感じられたので
『了解・・・亜美ちゃん、きっと喜ぶねっ』って送り返した。
受付で部屋番号を聞く…
乳がんというデリケートな病気なので、どうやら亜美ちゃんは個室利用のようだ。
部屋の前まで行くと、中から亜美ちゃんと女の人の声が聞こえて来た。
RA「お母さんかな？」
「そうかもね…」
なんだか込み入った話をしているようで、一旦部屋の前で足を止めた。
− 亜美 −
「やっぱり手術しなきゃだめだよね…」
亜美母「何言ってるの？あんなにみんなで話し合ったじゃない・・・」
「でも…何度も考えたんだけど…やっぱり嫌だ。もう女じゃなくなるんだよね？」
亜美母「先生も言われてたでしょ、乳房再建手術という選択があるから、まずは癌を全て取り除かなきゃ命にかかわるのよ・・・お願いだから・・・」
「でももし転移してたら…」
私の中で迷いが消えない・・・
その時
バンッ！
扉が開いて、そこにいたのは阿部さんだった。
「阿部さん…」
RA「亜美、手術を受けてほしい。俺の為に…」
「どうしてここに？」
RA「Aから聞いたんだ。
ごめん、俺、今すごく後悔してる。
なんで３年前、あの別れを告げられた時に気づいてあげられなかったんだろうって…
ずっと俺だけを見てくれた亜美のあの精一杯の嘘を見抜けなかった事も、なんであの時追いかけなかった事も、その後も諦めきれずに心にポッカリ穴が開いたままだったのに、なぜ亜美の事探さなかった事も…
全部、全部、後悔してる。
だからこれから先は後悔したくない！
俺も亜美も少なからず医学に携わっているからわかってるよなっ。
先延ばしにすればするほど癌細胞は増えていく。
だから、だから、まずは命の事を考えてくれないか？
生きる選択をしてほしいんだ、俺と一緒に…亜美がいない世界なんて考えられないよ。」
そういうと私を思い切り抱きしめてくれた阿部さん。
全身の力が抜けていくのと、それと同時に生きたいという気持ちが込み上げて来た。
「阿部さん…私、、、胸が…」
RA「そんな事どうでもいいんだ。亜美が生きててくれればそれでいい…それがいいんだ。」
その言葉に私はただ素直にうなづいていた。
待ってるから… 亮平side→←(名前)ちゃん沼 涼太・（人7）side
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作者名：みっきーまま
| 作成日時：2024年1月15日 23時
