愛を育む時間 （人6）・亮平side ページ27
ー 亜美 ー
阿部さんはいつもと変りなく笑顔で私を迎えてくれた。
RA「休みの日にわざわざ呼び出して、ごめんね。」
「いや、それより話ってなんですか？」
そう切り出すと、阿部さんは寂しそうに笑いながら
RA「まずはお昼ご飯でもたべない？話はそれから…ねっ。」
心を全て見透かされてるようで恥ずかしくて咄嗟に下を向いてしまう。
RA「亜美ちゃん、顔あげてよ。あの時みたいに笑顔でいて…ねっ。」
阿部さんの優しさが心に響く。今は、今だけは甘えてもいいですか？
ー 亮平 ー
まずは亜美ちゃんが心に抱えてる荷物を取り除いてあげたくて…
メニューから食べたいものを決めると開口一番…
「心配してたんだよね？Aの事。」
いい当てられてびっくりした顔の亜美ちゃん。
亜美「あの〜、私…知ってたのに伝えることが出来なくて、ごめんなさい。」
「謝ることなんてないよ。聖都さんのこと残念だったし、その事を受け止められないAの事も心配だけど…俺が一番気がかりだったのは、亜美ちゃんの事。」
亜美「私のこと？ですか？」
「そう。亜美ちゃんがAのことを俺に伝えられなかった事をすごく気にして、自分のことを責めてるんじゃないかって…その事がすごく心配なってた。」
会えない時間が愛を育てるっていう歌…昔、あったような気がするけど、、、
まさにその歌詞通りだなって…
会えない時間にその人の事を考える、それだけで愛を育んでいってるような…
あのアメリカでの貴重な時間、今では俺にとってかけがえのない時間なんだなって事を実感するんだ。
亜美「私はずるいんです。もともと阿部さんがAちゃんの事を好きだって知ってた…
留学も聖都さんとAちゃんの事、近くで見ているのがつらくて決めたって事も…
でも聖都さんが亡くなった今、Aちゃんの事を小さなころから好きで、よく知っている阿部さんなら、今暗闇の中にいるAちゃんを救ってあげられるんじゃないかって。
だけどAちゃんと阿部さんが付き合うなんてことになったら、私の気持ちは？とか一人で悶々と考えちゃって…
どこまでいっても自己中ですよねっ。
そんなつまらない理由で阿部さんに、今、Aちゃんが置かれている状況を告げる事が出来なかった。
ほんとに最低なんです…私。」
そういうと涙ぐむ亜美ちゃん。
でもそんな彼女を愛おしいと思う俺がいる。
「俺の事、それだけ好きって事だよねっ？そうでしょ？」
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作者名：みっきーまま
| 作成日時：2024年1月15日 23時
