俺にできる事 亮平・（人6）side ページ26
− 亮平 −
あの聖都さんが…
にわかに信じがたい事実。Aの落胆が手に取るようにわかる。
そうなると、亜美ちゃんのよそよそしさはこの出来事も関係してる？
菜緒に
「この事実って、亜美ちゃんに伝えた？」って尋ねると
菜緒「亜美ちゃんに連絡きてるかなって思って…」
やっぱりそうだったのか…
こんな時、俺が真っ先にやるべきことは？
そう考えた時、、、Aの悲しみを包み込んであげたいという気持ちよりも、亜美ちゃんの抱える不安と心配を取り除いてあげたいという気持ちの方が強くなってた。
そして勇斗くんに連絡を取ってみる。
菜緒から聞いた話を全て話した後に、
「今、Aってどこにいるの？大丈夫なの？」
HF「大丈夫なわけないよ…あいつは今どん底にいる。
ただ、そのどん底にいる気持ちを自分の中で認めたくなくて、聖都と関係があった人達との交友を全て断ち切ろうとしてる。
じゃないとあいつ自身が傷つくから…
ほんとはすぐにでも救ってやりたいんだけど、俺たち家族は見守ることにしたんだ。
Aが本当の意味で聖都を思い出として受け止める事が出来るまで…
だから申し訳ないけど、居場所は言えないんだ。申し訳ない・・・」
勇斗くんのAを思う気持ちが痛いほど伝わってきた。
父親のいないAにとって、ずっと父親のようにAを守ってきた勇斗くんにとっても辛い出来事だっただろう。
「ごめん…でもAは元気なんだよね？」
HF「あ〜、心配しないで・・・元気にしてる。」
勇斗くんと連絡を終え、俺は真っ先に亜美ちゃんに連絡を入れた。
「少し時間ある？話したいことがあるんだ…」
− 亜美 −
阿部さんから連絡をもらって、私たちは休みの日のお昼に会うことになった。
アメリカにいた時はなんの躊躇もなく、会うまでの時間を楽しめたし、もちろん会っている時間も夢のように楽しかった。
ただ、今回は少し違ってた。
阿部さんの声のトーンの低さ…
きっとAちゃんの事、菜緒ちゃん達から聞いたんだろうなぁ〜ってすぐに直感した。
なぜ阿部さんと再会した時、Aちゃんの事…真っ先に伝えなかったのだろう？
いずれはわかることなのに…
私の中で芽生えていた小さな不安がいつしか大きくなって嫉妬に変わっていたからだ。
聖都さんが亡くなった今・・・阿部さんの気持ちがまたAちゃんに・・・
そう思うと自分の口から伝える事が出来なかった。
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作者名：みっきーまま
| 作成日時：2024年1月15日 23時
