思い出の場所… 蓮・ラウールside ページ45
− 蓮 −
久しぶりにサッカークラブの見学兼コーチングに行ってみるかと思い立ち、グラウンドへ行くとベンチに少し丸まったらうの背中を見つけた。
後ろから行って、驚かせてやるかと忍び足…
その時、丸まった背中から聞こえたのはグッと押し殺すような泣き声…
「らう、どした？」
俺の気配にハッとしてらうが立ち上がった。
RU「めめ、兄ちゃんが…兄ちゃんが…」
そういうと俺の前でひざまづいた。
「らう？聖都さんに何かあったの？」
すると初めて顔を上げる。
RU「まだ信じられない、いや信じない…だけどもう二度、兄ちゃんに会えない…」
どういう意味なのかをすぐに理解出来ずに、
「会えないって、どういう意味？らう…ちゃんと答えて。」
RU「病気だったんだ…それも回復する見込みのない、癌だったんだって…
よくわからないけど、兄ちゃんがサッカーを辞めた理由もその病気のせいで、でも命まで奪ってしまうなんて…」
「へっ？聖都さん、亡くなったの？」
俺の言葉に力なくうなづいた。
「嘘だろ？らう、嘘だよなっ…」
RU「嘘なんかつかないよ。僕だって、僕だって、もっと兄ちゃんと居たかった…」
ほんとのことだった。
自分の中で事実を受け入れた時、俺も胸の奥がたまらなく痛くなって涙が止まらなくなった。
「もう会えない？聖都さんに会えない…」
広いグラウンドの隅に置いてあるベンチで２人して泣き続けた。
− ラウール −
父さんと母さんの前で素直に自分の感情を表に出すことができなかった。
僕まで涙に暮れていたら、父さんたちの思いはいつまでたっても正解にならない。
兄ちゃんと僕に時間を作ってくれたあのことも、単に兄ちゃんの寿命を縮める原因にしかならなかったのだから…
だから僕は自分の中で、ちゃんと決めたんだ。
泣くのはこのグラウンドに来た時だけって…
ここに来ると元気にボールを追いかけていた兄ちゃんを容易に思い出すこともできるし、僕の中でいつまでも生き続ける兄ちゃんとこのグラウンドを駆け回ることだって、、、
きっとできるよねっ
弱音を吐くのはこの場所だけ…
そしてめめの前だけ…
めめも僕のこんな気持ちを察してくれて、かなり長い時間、僕と一緒に泣いてくれた。
「ありがとう…めめ。」
− 蓮 −
かなりの時間、２人でグラウンドを見つめていた。
らうの泣き声がいつしか聞こえなくなった…
そんな時、後ろに人の気配が…
まさかそれがAさんだとは思わなかったんだ。
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りえ(プロフ) - カカオ砂糖さん» ご指摘ありがとうございます。 (1月13日 13時) (
レス) id: fa9cfabba3 (このIDを非表示/違反報告)
カカオ砂糖(プロフ) - あの…オリジナル作品のタグが付いてます…。 (1月13日 8時) (レス) id: 61b8287146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みっきーまま
| 作成日時：2023年12月25日 21時
