9人のナイトに愛された天使たち－4章－ (ページ36)

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最後の旅　+ラウール・聖都side ページ36

－ラウール－

検査場の前で別れて、搭乗口へ向かう。

兄ちゃんは何一つ語らずで、前を歩く。

搭乗口へ着いた途端に、すぐに機内に案内される。

座席に座る時、

SM「窓側に座るか？」

「いいよ、兄ちゃんが座りなよ。それよりさっ…」

検査場の前でみんなで交わした会話に違和感を感じていたので、その違和感を確認しようとしたら、

SM「らう、ごめんなっ。ちょっと疲れたので、寝かせてくれる？話はニューヨークに着いたら聞くから…」

「わかった。ゆっくり休んで…」

－ A －

笑顔で見送れたよね？

私としては上出来…って、、、今頃になって悲しみが込み上げてきちゃった。

みんなの前で泣いてしまうのは恥ずかしいから、我慢してたんだけど、

SW「よく頑張った…ハナマルあげる。」

しょっぴーが頭をポンポンしてくれた。

その途端、我慢していた涙が…自分でも驚くほどに涙腺崩壊。

すると連携プレイのように舘さんが、

RY「はい、姫、ハンカチ…」といい匂いのするハンカチを渡してくれる。

「いい匂い…」

RY「ラベンダーとネロリをブレンドした香りなんだよ。
不安な気持ちを取り除き、リラックスする効果があるらしいよ。

今のAちゃんには必要な香りでしょ？」

「すごく詳しいんだね。ほんと落ち着いてきた。」

２人の優しさに心があったかくなる。

その時心の底から、いい人たちに恵まれてよかったって…

これも聖都が繋いでくれた縁だよね。

少しずつだけど、心の傷が癒やされていくのを感じていた。

－聖都－

長い時間の空の旅…

こうやってらうと２人で旅をするのも最後なのかと思うと眠っているらうの顔をガン見していたみたいで、その視線の圧でらうを起こしてしまった。

RU「びっくりしたぁ〜、なんか視線を感じて目をあけたら兄ちゃんが意外に近かったから…」

「あっ、ごめん…いや、らうとこうやって飛行機に乗るの、久しぶりだろっ。

らうの寝顔見てたらあの頃と変わんないなぁ〜ってしみじみしてた。」

RU「いや、あの頃っていつ？僕、もうすぐ中3だよ。
変わったでしょ…男らしくなったでしょ(笑)」

「そうだなっ…男らしくなった(笑)」

そういうと２人して笑いあう。

でもこういう会話ももうできないんだなって思うと、急に寂しさが押し寄せる。

「なぁ〜、らう…ニューヨークに着いたら、トランジットの時間も8時間近くあるし、マンハッタンにでも行ってみる？」

その言葉にらうが子供みたいにうなづいた。