9人のナイトに愛された天使たち－4章－ (ページ26)

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俺の役目　大介side ページ26

「聖都…俺の聞き違いであってほしいって、今すげえぇ思ってるけど、"側にいられなくなった"って、どういう事？ちゃんと話してくれよ。」

すると聖都の瞳から大粒の涙がぽろぽろと零れ落ちた。

そしてしゃがみ込んだ俺の肩に手を置くと、

SM「お前が考えている通りだ…俺の命がもうすぐ尽きる。」

「いや、手術は？よくわからんけど放射線治療とかもあるんじゃないの？」

SM「外科的治療、手術は選択できないほど悪化してるってさっ
進行の早い癌だから、もう色んな所に転移してて、放射線治療を行ったとしても単なる延命治療でしかないって…何もしなければ余命半年みたいだ。」

その言葉を聞いた俺は聖都に何も言うことができなかった。

SM「いやな役、させちゃってごめんな…でも大介にはちゃんと聞いてほしかったから…」

そういうとムーンを撫でながら言葉をつづけた聖都

SM「延命って言っても１年とか２年じゃなくてたった数ヵ月。それだけの為に俺は病院から出ることもなく死んでいくんだ。
父さんたちはそれでも治療をしてほしいって言ってくれた。

でも俺、そんなの耐えられなくてさっ…俺は俺らしく最期を迎えたい。」

聖都の話、納得した訳ではないけど…もし俺が聖都の立場だったらって考えるとやっぱり同じ選択をしていた気がする。

「ほんとにそれでいいのか？俺はご両親がいってたように１分１秒でも長く聖都に生きていてほしい…

でもお前の言ってることもわかる。もう俺何言ってんだろうな…

俺、お前に何もしてあげられないな。ほんと情けない。」

そういうととめどなく涙があふれてきた。

SM「ありがとう、大介。俺の為にそうやって泣いてくれるだけで俺はもう十分だ。

あとこの事は申し訳ないけど、凛ちゃんには秘密にしておいてくれる？

２人の間に秘密を作る様で申し訳ないけど…」

「わかった。もちろん、凛には言わない。
凛の事だから、Aちゃんの気持ちを真っ先に考えると思う。
そして黙ってはいられないから。

俺はこの話、墓場まで持ってくから…」

そういうと聖都が今日初めて笑ってくれた。

その笑顔がやけにまぶしくて、俺はまた悲しくなった。

その時、聖都の携帯にAちゃんのお兄さんからメールが届いた。

内容を一緒に確認する。

そして俺から聖都に最後の提案をした。

「聖都、Aちゃんのお兄さんには真実を話しておいた方がいいんじゃない？
その方がAちゃんを説得する力になってくれると思うよ。」