9人のナイトに愛された天使たち－4章－ (ページ25)

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お兄ちゃんの優しさ　+勇斗side ページ25

－ A －

途中から降り出した雨にも気づかず１人茫然と歩いていると、名前を呼ばれた気がして

HF「A、どうしたんだ。こんなずぶ濡れになって…」

振り返るとお兄ちゃんが傘を持って立っていた。

「お兄ちゃん…」

HF「急に雨が降り出したから・・・お前たち２人とも傘を持っていかなかったんじゃないかって、母さんが心配そうにしてたから、神社までもっていこうかって…

それよりお前、なんで１人なんだ？おい、A、大丈夫なのか？」

お兄ちゃんが何を言ってるのかわからないくらい混乱している。

HF「A、聖都と何かあったのか？」

聖都という名前が出た途端にまたつらい現実に引き戻される。

「お兄ちゃん、私、聖都から振られちゃった…」

－勇斗－

力ないAの呟きにびっくりしてしまう。

「今、なんて？」

A「聖都とお別れしてきた…私、どうしたらいい？」

そういうとその場で号泣し始めたA

雨であることや、外でかなり好奇な視線にさらされていることもあり、Aの肩を抱くと

「一旦、家に帰ろう…なっ、A」

そういうと２人して家に戻ってきた。

Aには先にシャワーでも浴びてこいといって、俺は携帯で聖都に電話をかける。

でも聖都と一向に繋がらない。一体、別れた理由は何なんだ・・・

Aがシャワーを終え、リビングに出て来た。

相当泣いたのだろう…目が真っ赤だ。

Aの顔を見ると、やっぱり突然別れを言い放った聖都の真意をどうしても確かめたくなった。

再度、メールをいれる

『Aの事で、話したいことがある…このメールを読んだら連絡してくれ。』

－ A －

シャワーで流れているはずなのに、何度流してもあふれてしまう涙。

ようやく途切れた頃、リビングへ行くとお兄ちゃんがソファーに腰掛け私を待っててくれた。

HF「少しは落ち着いた？」

力なく頷くだけの私。

「私も何が何だかわからない。理由は話してくれたけど、今一つうまく理解できてない。
聖都に対して知らない間にストレスがたまる行動してたのかな？
それとも他に…いや、聖都に限ってそんな事、考えたくない。」

いってることが何一つお兄ちゃんに伝わらない。

HF「今日はもう自分の部屋で少し休め…
男女間のことに兄妹であっても踏み込むなんてあり得ないって、俺だって理解してる。

でもお前に聖都をめぐり合わせたのは俺だから…

ちゃんとした理由を聞いてくるよ。」って頭を優しく撫でてくれた。