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「寝れない」
早朝から、来週アップの動画を撮り貯めないといけないのに。
そのあとのスケジュールが気になりすぎて。
ちゅんちゅんと鳥の囀りが聞こえてきても
私の目はぱっちり開いていた。
.
.
「東方神起のお2人の撮影日がこの日なんですが、
先方が是非監修のAさんにメイクの指導を頂きたいと」
少し前のこと。
ルディアがタブレットを開きながらそう言うから
一瞬で変な汗をかいてしまった。
「へっ、私？」
「えっ。はい」
そりゃそうだ。
私以外誰がいるのだ(笑)
このパターンはほんとよくある話。
「わかった、じゃあ…調整しといてくれる？」
まさか会ってもらうと言われてて
一番最初に会う時にメイクまでするなんて思ってもみなかったなぁ。
ここで断ると、疑問を抱かせてしまうし
プロ失格だ。
でも、8年振りのユノに会うのはやっぱり緊張するな…
お互いに気持ちが残ったままお別れしたから尚更気まずい気がする。
もう8年もたってたらそんなことないのかな…？
「前世でどんな徳を積めば、東方神起と結婚出来るんでしょうねぇ」
ふと、ルディアがそう呟くから
内心ドキッとした。
あれっ？
過去について話したことあった！？
女の子として、憧れの【結婚】を捨てきれなくて
ユノと別れたこと…
「チャンミンさん、第一子ですって」
「えっ。あっ、そっか」
そうだった。
数年前にチャンミンの入籍をネットニュースで見て。
その時も8年前のこと思い出したんだった…
「お祝い、用意しないとね」
「手配します！」
「うん、ありがとう」
なんでもない。
なんともないんだから。
.
.
.
「Aちゃん…？」
変わってないその声。
スタジオの前の狭く長い廊下の
1番奥から、背の低いマネージャーさんを携えてやってきた彼が
足を止めて、目を細めて驚いたようにそう尋ねる。
距離が近くなって、気づいた
マネージャーさんの背が低いんじゃなくて
この子の背が高すぎるだけだと。
8年前に比べて体つきも1周り大きくがっしりしたのに。
目をまん丸にして驚く顔は昔と全然かわってないわ。
「チャンミン！ひさしぶり！！」
ユノの良き相棒、チャンミンくん。
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作者名：micky!!
| 作成日時：2023年6月20日 2時
