金木犀―3― (ページ16)

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仕事で後輩が出来てその後輩たちも研修が終わりこれから仕事に慣れそうになってる6月

いつもより多めにお金を持って街へ出かける

私は多くて3カ月に一回、少なくて半年に一回、こうやって一人で買い物に出かけるのね

普段物を買わない代わりに今日みたいな日を作って思いっきり使う

学生の時はテストが終わった時とか、去年は研修が終わった時とか

ひたすら歩いて買い物して歩いて買い物してを繰り返す

まあ優柔不断だから結局はいつもの買い物と変わらないなんて時もあるんだけど…

今日は絶対買うぞ！と心に決めて家を出た

いろんな店を転々と歩き回る

狙ってたワンピースや洋服を買って、
デパートの一階の化粧品売り場のいつもの所で口紅を買う

口紅って安いのも高いのも入ってる物自体はそんな変わらなかったりするけど
やっぱりいいものを付けると『これに似合う人になろう』って意識が変わる

化粧直しした時もぱっと気分転換になるから口紅は良い所のを使うようにしてる

一通り欲しかったものや気になったものを見て、たくさんのショップ袋を手に

少し繁華街から離れたところにある電気屋さんに向かう

今まで時々使ってたウォー○マンが壊れてはいないんだけど
久しぶりに使ってみたら電池の減りが早くなってて…新しい物を買いに来た

これまでウォー○マン派だったけど一回違うものを買ってみようとip●dを手に取る
丁度安くなってるやつがあったからそれを買って今日の買い物は終了

時計は4時を指してた
朝から猛スピードで買い物をしたせいか案外早くに終わった
そのまままっすぐ帰ろうか寄り道しようか迷ってぷらぷらしてたらあるカフェが目に入った

大学生の時、帰り道によく寄ってたカフェ

卒業して引っ越してから来ていなかったけどそういえばこの辺だったな…

丁度混む時間が過ぎたのか店内は空いていた

「こんにちは。こちらでお召し上がりですか?」

空いてるし、座ろうか迷ったけど

振られてる人がいて…笑

「いえ、お持ち帰りで」

お持ち帰りにした

お持ち帰りにすると行く場所は決まってる

「久しぶりだなあ」

そう、下宿先の近所にあった小さな公園

一年…半ぶりかな。あの頃と同じコーヒーの味、公園の空間、そしていつものベンチに腰を下ろす

あの頃のように金木犀の香りはしないけどどこか懐かしいその空気にふと目を閉じる