金木犀―3― (ページ12)

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友「はい、これ」

いつも私が頼むお酒

「よく分かったね」

友「何年の付き合いだと思ってんの」

「まだ一年だよ」

友「こら(笑)はい、乾杯」

「乾杯」

カチンとグラスの音が鳴る
本当は当てないのがマナーだけどそれはお堅い席だけでいい

友「珍しいじゃんお前が合コンなんて」

「ははっ私だって行きますよーだ」

友「の割にすげーつまんなそうな顔してましたけど」

ばれたか

「俺かっこいい男がずっと横で自慢話してなかったらもう少し楽しかったと思う」

友「あの横にいた奴か(笑)」

「ずっと『俺落ちなかった女いないんだよね』ばっかり言ってくんの」

友「あっはっはそりゃ傑作だ」

「あーもーいいでしょ。今日で最初で最後の合コンだ！」

友「まあそれがいい。で？そろそろ聞いても良いと思うから聞くけど…」

いきなり友也が真剣な顔をしだす

「ん？何?」

友「さっきの涙と、この前の涙の理由は同じ?」

この前の涙…あぁ、あの時のか…

「別にーちょっと寂しかっただけでさっきのは街灯の光がまぶしかったから」

なんて誰が聞いても嘘だってわかるような言い訳しか出てこない

友「はいはい。そういうのは良いから。」

ですよね

「友也の前で泣いといてだけど…ほんと、関係ないから…」

友「あの日からあきらかーに変な人を心配してやってんのに」

「変な人?」

そう聞くと呆れた顔でこっちを見て

友「Aだよ。」

そう言い放った

「そっか」

やっぱりね。自分が一番わかってた。

あの日からきちんと笑えてなかったり、いつの間にか仕事人間になってたり

普通の人から見たら特に変化はないんだろうけど

普段から人の事を良く見れている友也とか美夏から見たら一発で分かったんだろうな

友「で?なんで泣いてたの」

「プライベートな事」

友「今はプライベートじゃないんですかー」

「うーん」

友「プライベートな理由で泣いてた時にいた俺は、もうAのプライベートの仲間入りをしてもいいと思うんだけど」

「友也って時々賢すぎてよく分かんないね(笑)」

友「うるせーよ(笑)で?もういいだろ。」

「しつこい男は嫌われますよ～」

友「いいのお前は俺を嫌いやしない」

どこからそんな自信出てくるのよ

友「ほら、早く言え」

このまま貯めていたら結局ずるずる行ってしまいそうだし。そう思って

「友也はさ、好きな人を振った事ってある?」

口を開いた