金木犀―3― (ページ2)

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だんだん風も春っぽく、暖かくなってきた3月

「あのまま付き合ってたら今月で1年か…」

なんて。

あれからとにかく忙しく過ごした

1人になると思い出すからスミや大学の友達とよく会うようにしてた

ありがたいことにこの前の海外での取引が上手くいって

次から次にやる事がたくさんできて、多忙な日々を送れてた

けど

まだ心にぽっかり穴が開いた気分

私ちゃんと笑えてるかなあ

私ちゃんと前向けてるかなあ

ガタンッ

スミ「痛ったあああ!!!!」

そうだ、今日はスミかが遊びに来てたんだ

「ちょっと、大丈夫?」

スミ「大丈夫、大丈夫。ん?A、これ何ー?」

棚にぶつかった衝撃で上に置いてあったものが落ちた

「あ、それは…」

あの日、本当なら渡そうと思っていた物

中身は時計

捨てるわけにもいかず

見えない所に置いてあったんだけど

「スミカいる?」

スミ「何?いらないの?」

「うん。いいや、あげるよ」

スミ「え！ほんとに！？って中身何?」

「時計」

スミ「時計かー時計この前買っちゃったんだよねー。いいや。どこに置いてたらいい?」

いらないのかよ

「そう?じゃあそのにおいといて」

スミ「何、Aつけないの?」

「え、うん…とりあえずあるし」

GS『あ、この時計可愛い』

『ほんとだ！』

2人で散歩した時にお店の外から見えるショーケースに入ってたもの

お店はしまってたから見るだけだったけど

茶色のベルトと白のベルトの2種類あって

GS『いいねこれ』

『茶色可愛いなあー…いや、けど白かなあ』

GS『僕はなー白より茶色かなあ』

『このブレスレットにも合いそうだね』

そんな会話した後、クリスマスプレゼントに

ギョンスへ茶色のベルトの方を買った

「捨てるわけにいかないしなー…」

そういって棚から取って

ギョンスからもらったブレスレットと共に鍵のついた引き出しにしまう

「もうあげる事もないけどね…」