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岩「_____っ!!!!A!!」
思っている以上に彼の腕は温かかった。それは私の手が冷たすぎたからそう感じたのかもしれない。
「は___っ、ゴホッ」
息を吸おうとしていて、急に空気が気管を通ったからなのだろうか。咳が出て上手く息が吸えなくてしばらく苦しかった
岩「A、A、、ごめん。。ごめんなさい.....」
私から降りて、背中をさすってくれながら謝罪された声は、信じられないくらいか弱い声だった
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「もう....大丈夫。」
岩「本当にごめんなさい。俺......」
半泣き状態の剛典。自分でも、この状況がよく分かっていないのかもしれない
「大丈夫だよ。私は生きてる。剛典、貴方の傍にいるよ」
自分でも、自分の冷静さに少し驚いている。さっきまで首を絞められていた相手を今度は私が抱きしめているんだから。
彼の頭を包むように抱きしめて、後頭部をゆっくりと撫でてあげる。
すると、ゆっくり彼の手が私の背中に当てられて、震えながら私にしがみついてきた。
私は剛典の事をよく知っているつもりだ。
だから彼が普通の状態でこんな事をするなんてまずあり得ない。そんなのはこの人と何年も一緒に居れば分かる。
きっと、魘されたり疲れた表情をさせている、今回の仕事の内容が彼にこんな事をさせているんだろう。
私にはプライベートで彼を支える事しかできない。役をそのままプライベートに持ち込んでしまう彼だからこそ、私がこういう時に支えなければいけないんだ。
しばらく、その状態が続いた。二人ともなにも話さず、ただ彼がたまに鼻をすする音だけがベッドルームに落ちていった
私に今、何が出来るだろう?
私のチープな語彙力では、彼の何の助けにもならないような言葉しか浮かんでこない。
だったら言葉など掛けず、ただこうして彼の感情の吐き出し場所に徹した方がいいと思った。
きっと彼は私以上に自分の感情を達観視できている。そして私が何も言葉を掛けない理由も。
だからこうして、私にすり寄ってきてくれているんだと思う。
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もう少しだけ時間が経って、彼の体が少し重くなってきた。きっと子供のように泣きながら寝てしまったんだろう
最後に彼をぎゅうっと力いっぱい抱きしめて、ゆっくりとベッドに倒れた
頬に涙の痕が付いた剛典の顔は、本当に子供のようだ。もうさっきまでの怖い彼はここにはいない。
「樹くん、ね。
______いい名前かも」
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みちゅ(プロフ) - もりもりさん» いつも読んでくださりありがとうございます。更新のたびに初めから読んでくださるなんて....(どこか辻褄が合わない所が合ったらこっそり教えてください。笑)これからも更新頑張るので、どうぞ末永くよろしくお願いします! (2019年4月5日 15時) (レス) id: efc731e00f (このIDを非表示/違反報告)
みちゅ(プロフ) - 和亮さん» 岩田さんの三十路突入記念、気に入っていただけて良かったです。反響の多さにビックリした次第です。笑 そしてなんて嬉しい読み方〜!そうなんです!そうやって読んでいただきたかったんです!伝わっていて、私が感動です!ありがとうございます! (2019年4月5日 14時) (レス) id: efc731e00f (このIDを非表示/違反報告)
みちゅ(プロフ) - riさん» 初めてのコメント、ありがとうございます。もっとワクワクしてもらえるよう、更新頑張りますね!笑 こちらこそ、いつも読んでくださってありがとうございます! (2019年4月5日 14時) (レス) id: efc731e00f (このIDを非表示/違反報告)
みちゅ(プロフ) - りのさん» お返事もせずの更新ですいませんでした。月に一回も!?嬉しすぎます!ありがとうございます!なのになかなか更新できなくてごめんなさい。りのさんの言葉を励みに更新頑張ります! (2019年4月5日 14時) (レス) id: efc731e00f (このIDを非表示/違反報告)
もりもり(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!更新の度に初めから読んでしまうんですが何度読んでも素敵なお話で一気読みしてしまいます。his feelingsも公開してもらえてとても嬉しかったです!もっともっと読みたくなりました。次も楽しみにしています^_^ (2019年3月11日 14時) (レス) id: e661913c05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みちゅ | 作成日時:2018年9月18日 11時