運命の恋、拾われました.14

↓. ページ21

.






「＿＿＿＿っ、ごめんなさいっ！」

岩「大丈夫？ すいません。」


視野狭窄でお給仕してくれているウェイターさんの存在を見落としてしまい、席を立とうとしたらぶつかってしまった


ウェ「こちらこそ申し訳ございません。お怪我ございませんか？」

「大丈夫です。本当に申し訳ありません」


持ってきてくださったデザート時のドリンクがトレンチの上に零れている。気を付けてはいるつもりだけど、この視界の狭さに慣れてしまった今、どうしても気を付けるのを忘れてしまう時がある


＿＿＿＿＿＿こういう時、どうにもこうにも自分が許せなくなる




岩「A？いいから行っておいで」

「＿＿＿＿＿すいません」



私が立ち尽くしていた事におかあさんもウェイターさんも不思議に思っただろう。剛典が助け舟を出してくれてようやく動き出すことができ、お手洗いへ向かった




.



.




＿＿＿＿＿＿治らない



こんなに毎晩苦しい思いをして薬を服用しているのに、視野狭窄が良くなってこない


先生に相談したら、仕事中に飲めないのが原因だと言われた。飲み続けなければならない薬を飛ばしているから治るのも遅くなる、と。
だからと言ってあの薬を服用して夜勤など、出来るわけがない



＿＿＿＿＿＿あぁ



また、負の感情が私を支配する





.




.




席へ戻ろうとすると、神妙な顔で話をしている剛典とお母さん


＿＿＿＿＿私の事、を話しているのだろうか





もしかしたら、おかあさんに結婚を反対されているのかもしれない


芸能界に入ったからと言っても、剛典はやっぱり世間一般的には『社長のご子息』なわけで、ご両親からしてみてもそれは同じだろう

そんな大事な『ご子息』に後継ぎが出来ない可能性が分かったら......ご両親は反対するに違いない

むしろそれは社長のご子息云々関係なく反対される要因になりうる事だから。




.




岩「どうした？なんか、顔色悪いけど....」


遠巻きから二人の事を見ていたら、それに気付いた剛典に手招きされようやく席へ戻った


「え？そう？？もう酔っぱらっちゃったのかなぁ？笑」

岩「＿＿＿＿ほら、デザート。ここの珈琲も美味しいから、冷めないうちに」


笑ってごまかしても、きっと剛典は私の異変に気付いていて。
でもそれを此処で追及しない剛典は、さすがだなと思う



そういう剛典に、私は甘え過ぎなのかもしれない





.

↓.→←↓.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す