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今日もママが用意してくれたご飯を食べてコートを羽織る。
家の電気を消し、玄関の鍵を閉めて寒さを確かめるように空に向かって息を吐いた。
ほわっと白く広がるモヤだが、昨日よりかは暖かく感じたのは気温のせいではない。
冷蔵庫に入った冷たい器も
レンジから出てきたご飯も
テレビから聞こえてくるお姉さんの声も
どれも昨日とは違っていて、暖かく、美味しく、明るかった。
昨日とは違うのは目的地があって、明確な目的があって、今歩いていることも。
ザッザッと5段ほどの足の階段を上がっていく。
楽しみでソワソワして早めに出てきてしまったからブランコに乗って待ってようとそちらに目を向けた先に、キィっと聞き慣れた錆びた金具が動く音とそれを鳴らしてるであろう人物がブランコに乗っていた。
両足をついてゆらゆらと揺れるブランコに合わせて、金色と水色の髪が揺れる。
『……竜胆くん?』
「あ、きた」
『ごめん、ゆっくり歩きすぎたのかな』
「俺が早く来ただけ
兄貴が女呼ぶから出ていけってうるさくてさ」
公園の中の時計を見るとまだ19時40分にもなっていない。
遅刻したのかと思い謝れば、竜胆くんのその言葉にちょっと慌てる。
『え、あ、そ…そうなんだ
そか、お兄さんもクリスマスは彼女と過ごすよね』
「……んーいや、彼女じゃねぇけどまぁいいや
行こうぜ」
当たり前のように私の手を取る竜胆くん。
そして、それに慣れてきている自分にも気付く。
「メシは?」
『ママが用意してくれてて』
「そか
俺まだ食ってねぇから時間まで屋台並ぼうぜ
あの辺あったけぇし」
うん。と頷いて、昨日のポトフが美味かった。と言う竜胆くんに、今日もあるといいね。と返す。
会場には昨日より多くの人が来ていた。
もちろん屋台もそれなりの人だかりで、一目散にポトフのところに並んだ竜胆くんは、人がすげぇ。と呟いた。
『今日が終わったらまた来年だもんね』
「見納めってやつだな」
『竜胆くんは毎年来てるの?』
「いや、去年は来てねぇな
一昨年は何人かと来た気がする」
なんでも去年は友達呼んでホームパーティーしたらしい。
一昨年はその道中に見たとかなんとか。
屋台の少し離れた場所でポトフを食べる竜胆くんの横で、その隣に売っていたポテトフライを待つ。
手が塞がるから持ってて。と言われ、彼が食べやすい位置で持ってるのだ。
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gxh - 玉兎さまーーっ!!大好きです!更新いつまででも待ってます! (2月2日 20時) (レス) @page42 id: 9d014a95bc (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - キクラゲさん» コメントありがとうございます!✨ 告白ですね!!気持ち届きました!!そんな好き好き言ってもらえると調子に乗ってしまいそうです😂😂 楽しんでいただける作品を作ります!!これからもよろしくお願いします☺️ (12月12日 14時) (レス) id: 7c28fb7f1c (このIDを非表示/違反報告)
キクラゲ(プロフ) - クッッッッソ好きです作者さんの作品も好きだし作者さんも好きでs(( ンンッ…私こんなに語彙力ないからうまくかけないので玉兎さんの作品見て語彙力勉強します…!コメント失礼しました! (12月12日 0時) (レス) id: bf82bf2975 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます!!✨慎重に書き進めております!!鈴様の応援でめちゃくちゃがんばれます!!ありがとうございます☺️ (12月10日 12時) (レス) id: 7c28fb7f1c (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 二人の関係がどうなっていくのか、気になります!続き楽しみにしてます! (12月9日 13時) (レス) id: 87ee7e2daf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉兎 | 作成日時:2023年10月24日 11時