【文スト】宮沢賢子（仮名）になりました

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私がアツシクンを運んでる最中、太宰さんはずっとこの子を探偵社に入れることを薦めていた。

国木田さんは完全に反対派。
反対理由と共にいい感じに太宰さんをディスっている。

別に入れてもいいとは思うけど……。




「社長に会わせるならこの格好は不味いんじゃ？」

「面接にスーツは基本だしねェ」




おぶっているこの子の服装を見せるように、腕を少しあげる。誰がどう見てもみすぼらしい格好。この子今までどこにいたんだ。
まあ年中白ワンピースに麦わら帽子の私が云える立場じゃないかもしれないけれど。




「私が買うの？ やだよお金ないよ」




云うと思った！

太宰さんの言葉に深いため息をつく。
ほんとにこの人はもうどうしようもない。探偵社に入る前は何をしていたんだろう。

すると乱歩さんが笑顔で手を挙げながら出てきた。どうやらナイスアイディアがあるらしい。




「皆で分担してばらばらに衣服を買ってきて着せよう」




どこがナイスアイディアだ。

でも何処か自分でも面白そうだなと思い始め、割と買うものを考えていた。
何買ってくればいいんだろう。ズボンとか？ 靴とか？

ふと見上げると空には満月が昇っていた。でも都会で明るいから星は見えない。
もう夜だなあ。寝ないと故郷のお母さん怒っちゃう。よし、我が家にあるもの適当に持ってこよう。



となって持ってきたものを次の日の朝に探偵社のところに集合させた。時間が短かったせいか、見事にへなちょこりんな衣類ばかりだ。

早朝、太宰さんから“新人の衣類を適当に買ってきてね♡”と罰ゲーム紛いのメールがきた谷崎君の話を聞いた時は本当に可哀想だと思った。




「無難なの国木田のだけ！ あっはっは！」

「うわあ、この長いベルト絶対太宰さんじゃないですか」

「そう云ッてるAちゃんの靴も女物だよね？ アレ……」

「バレた？」

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