解散する ページ8
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「リリー、お前Aさん好きなん？」
飲みの席で言われたモリシからの言葉。
「なんで？」
「なんでって…あんだけ毎回一緒に教室来てたらそう思うって」
「まあそうか、好きや俺、Aさん」
あっさり認めてビールを口にすると
モリシはシラーッとした顔で俺を見た。
「かわええから？」
「それもあるけど」
「あかんくない？言うて養成所側の人やで」
モリシの言う事はもっともやけど
諦めるつもりもない、でもすぐにどうなりたいって事でもない。
「まあ、好きになんのもわかるけど」
「わかるなやアホ」
「くっち悪う〜…」
モリシと一緒におるのは好きやった。
性格は逆やけど趣味とか通って来たものが似ていて話が早い。
赤星の大瓶が400円で飲める穴場を見つけて、よう飲んでた。相方が別にいる同士で気楽なんやと思う。
「あ、そや、俺ら解散すんねん」
なのに、いきなりモリシからあっさり爆弾を落とされた。
「え、早、どうしたん？」
「いや、ネタ作っててもおもろいけどなんかちゃうねん。俺はどかどかボケてツッコんでって感じやけど石井はゆっくりボケて、溜めてツッコんでウケ狙うみたいな」
うまくいってそうやったのに、ちょいと寂しいなこういうの聞くと。
「あ、でも仲ええし、全然」
「ふうん、まあまだ始まったばっかりやしな」
自分で始まったばかりとは口にしたものの
もう気づけば5月も半ばの頃。
…
「ほな、次…ギター？
盛山と石井か。名前他に無かったんかい」
ネタ見せの授業の日が来た。
モリシ達は一応この日の為に作ったネタを終えたら解散という事らしい。
結構ウケてたので勿体無いなと思った。
そして俺と斎藤の番。
結果はまずまずで「初めて作ったん？」と講師に角のない言い方で言われたあたり悪くはなかった様子。
そんでAちゃんはというと、授業にいなかった。
別のヒョロッとした男性が今日は音を出してくれていて、多分仕事やったんやと思う。
残念やなあと思ったけど、もっと面白いの作って観せたろと思う事にした。
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作者名：ぴぴ | 作成日時：2023年3月13日 14時
