結成する ページ12
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「なあリリー、ドライブ行かへん？」
「え、何？怖。」
授業終わりモリシに声を掛けられた。
そろそろほんまにコンビ組まへんとあかんのに
何を言っとるんやコイツはと思ったけど
急いで組んでもしゃあないというのは前回の件で学んだし
「親父の車借りてん」とキーを見せてきたので、車を出してもらえるのやったらと了承した。
車は近くの駐車場に停めてるらしく着いてった。
「リリー岡山やろ？」
「おん、この前まで大分」
「この辺車で知っとけばデートに役立つやろ」
キーをくるくる指で回すモリシは「あ、コレコレ」と車を開けて運転席に乗り込んだ。
まあ、確かに。未だにまだ大阪の地名や位置すらピンときていない。
Aちゃんとドライブなんかしたら最高やろな。
でも想像でけへんのはきっとこの辺の事も…Aちゃんの事もまだまだ知らないからやと思う。
助手席に座って、Aちゃんに言われた言葉を思い出しながら暗くなっていく街並みを眺めた。
モリシの運転は意外にもスムーズで、珍しく褒めたら「マリカーも上手いで」とよくわからん返しをされた。
同期の話やテレビの話をぐだぐだとしながら
「あ、六甲山行ってみる？」
と思い立ったモリシ。
まだ行ったこともなければ、名前しかしらんので
なんとなく「おん」と返した。
飯もまだやったから途中コンビニで色々買いためて、車を走らせる。六甲山が大阪やなくて神戸というのも途中で知った。通りで遠い…。
…
「着いたーーー！！リリー着いたわ」
「お、すげ」
「やろ？何度俺がここで女落としたか」
嘘つけ、と思ったが車から出た瞬間
六甲山から見る神戸の夜景が綺麗過ぎて何も言えへんかった。
「すごいなマジで」
「あれ見える？」
「あーあの光っとるやつ？」
モリシはそれを聞くと少し黙ってから
「コンビ組まへん？俺ら。
背が一緒やと見える景色も一緒やと思うねん」
と、言った。
「なんやそれ、口説いてんの？」
「まあ、身長同じくらいの奴と組みたいなあて思ってて、図らずもロマンチックになってもうた」
「なんやねん、それ」
思わず鼻で笑ってしまうと、モリシはコンビニ袋からビールを取り出した。
「車やん、飲めへんやろ」
「リリー飲みたいやろ。俺飲まんから。」
「マジでお前落とそうとしてるやん」
他のカップルがちらほらいる中、場違いに2人で大声上げて笑った。
モリシとコンビを組むことを承諾した。
まんまと落とされたというわけだ。
帰りの車中でなんとなく、1番最初に言われた
「二人、多分組んだほうがええけどなあ」
というAちゃんの言葉を思い出して笑った。
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作者名：ぴぴ | 作成日時：2023年3月13日 14時
