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話に夢中になって
温めたのに冷めてしまった料理。
結露したグラス。
盛山さんは体を向けて、ソファが動いてしまうくらいの力で
ぎゅうっと抱きしめた。
「なんかあったらすぐ言って、全部とりあえずなんとかするから」
その言葉は大分アバウトだったけど、それを聞いて私も安心できて抱きしめ返した。
私も不安だったけど
盛山さんも同じくらい別の不安があった。
「盛山さん」
「ん?」
「好きです、だいすき」
不安は払拭されたわけじゃない。
盛山さんが言うように、本当に想像できないけど、この不安が私を押しつぶすくらいの大きさになった時、嫌になってしまう時があるのかもしれない。
でも盛山さんが頑張ってくれるなら、
私はずっと好きでいられる自信しかない。
「Aさん、俺も大好き」
そのまま、顔を見合わせてどちらからともなく唇を重ねた。
ちゅ、ちゅ、と軽く何回か重ねて
少しずつお互いに呼吸がちぐはぐになるけど、もっとしたくて堪らない。
盛山さんが私の頬に手を当てて、もう少しだけ深く。
「あー、かわいいな、ほんまに。世界一かわいい」
盛山さんがそう言うから
本当に世界一可愛いんじゃないかって錯覚してしまう。
「あ、どうしよ」
「盛山さん?」
「いや、ちょっと…ううん、なんもあらへん」
なんもあらへん、という訳はない。
きっと、多分、私も同じ気持ちである。
盛山さんに今度は自分からキスをして
「…ベッドいきますか?」
と言ってみた。
世界一可愛いという暗示がかかっているからこんなに積極的な事が言えるんだろう。
「む、無理してへん?」
「してないですよ!私も…なので…」
「焦ってへん?ほんま?ええの?」
「ええですってば!」
こんなやりとりでも、私を大事に考えてくれるのがよく分かる。
「あ、でも待って!シャワーする!めっちゃ汗かいたし、あっそや、俺胸毛やばいけど引かんといてな?!あと腹思ってる以上に出てるからそれもあんま見んといて、あと…あ、うわ汗とまらん」
いきなり早口で焦る盛山さん。
どっちかっていうと世界一可愛いのは盛山さんの方だと思って笑ってしまった。
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天風あおい - ぴぴさん初めまして。今回の小説、盛山さんの魅力をこれでもかと詰め込んだくらいに素敵な小説で、読みながらキュンキュンしてました!本当の盛山さんも、きっとこんな感じなんだろうなって想像すると本当にドキドキしちゃいました。また読ませていただきますね! (2月10日 14時) (レス) @page43 id: ebcd75c8b8 (このIDを非表示/違反報告)
真央 - ぴぴさん初めまして、素敵な盛山さんにドキドキしながら読むことができました終わりが出た瞬間もう読めないって寂しく思いましたまた読ませていただきますねありがとうございました! (11月8日 2時) (レス) @page42 id: 815e84f626 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - ぴぴさん初めまして。ぴぴさんの書く小説を読んで、見取り図とニューヨークが更に好きになりました!どの物語も本人の特徴を凄く捉えていてめちゃくちゃときめきます…!休止中とのことですが、もしまたぴぴさんの作品を読めたら嬉しく思います♪ (9月2日 14時) (レス) id: 869ad398aa (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴ(プロフ) - shiinonchanさん» いつも読んでくださりありがとうございます☻❤︎❤︎ものすごく理想の彼氏を私も反映させておりますゆえ趣味が一緒という事ですね!!!!そんな嬉しい事ばっかり言っていただけて嬉しいです(..◜ᴗ◝..)♩ (5月24日 9時) (レス) id: b6f7e28a9f (このIDを非表示/違反報告)
shiinonchan(プロフ) - こんな彼氏最高すぎます!❤︎なんかもぉ盛山さんがすごいリアルで本物の盛山さんもきっとこうなんじゃないかって想像できちゃうのですごく物語に入り込めて読んでて幸せです〜❤︎ありがとうございます❤︎ (5月21日 2時) (レス) id: ea4b977ca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴぴ | 作成日時:2023年2月15日 1時