20 ページ37
.
「Aさん、どした、暗ない?」
盛山さんに話しかけられてハッとする。
盛山さんが大阪の日、仕事終わりに会うことになって。
ご飯を食べに行くという話だったけど
誰かに見られてしまったら…と、私が日和ってしまい自ら家で過ごすことを盛山さんに提案したのだった。
「わ、ボーっとしちゃってました」
「家って言われたから心配やったわ、疲れてんのかなあって」
「全然疲れてないんですけど」
「…けど?」
二人掛けのソファに二人で座ってテレビを見ながら、テイクアウトしたご飯を食べる。
「けど」という私の余計な言葉に反応する盛山さん。
「き、緊張しちゃって!盛山さんが家来るの」
「ええ、なんやそれ、ていうか緊張してんの俺の方やわ」
ホッとした顔になる盛山さん。
だめだだめだ、盛山さんの前くらい普通にしてないと余計な事を考えさせてしまう。
「でもなんかええなー、メシ買って家で二人で食べて。お付き合いしてる感じ。」
「なんか分かるかもです、それ」
「やろ?」
盛山さんって話してると本当にテレビに出てる人とは思えないほど、普通の事で幸せを感じてくれたり笑ってくれたりする人だ。
ご飯も高くても安くても美味しそうに食べてくれるから、私ももっと美味しく感じる。
好きだなあと、自然に思ってしまう。
またボーっと盛山さんを見ちゃうから、盛山さんは不思議そうに顔を近づけた。
「あ、また私、でも今ボーっとしてたのは違くて」
「…Aさん、俺頑張るから!」
「え?」
「不安やろ、俺みたいなんが彼氏で」
盛山さんは眉毛を下げて、ちょっと寂しそうな顔をする。
予想外の言葉に驚く私。
「先に言わなきゃいけなかったな
俺、芸人やから、この先めっちゃ寂しい思いさせたり、Aさんが俺の事嫌いでしょうがなくなる時があるかも知れん」
今まで会ったどの時よりも真面目な顔をしている。
私のどこか晴れない表情に、盛山さんは気づいていた。
.
230人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天風あおい - ぴぴさん初めまして。今回の小説、盛山さんの魅力をこれでもかと詰め込んだくらいに素敵な小説で、読みながらキュンキュンしてました!本当の盛山さんも、きっとこんな感じなんだろうなって想像すると本当にドキドキしちゃいました。また読ませていただきますね! (2月10日 14時) (レス) @page43 id: ebcd75c8b8 (このIDを非表示/違反報告)
真央 - ぴぴさん初めまして、素敵な盛山さんにドキドキしながら読むことができました終わりが出た瞬間もう読めないって寂しく思いましたまた読ませていただきますねありがとうございました! (11月8日 2時) (レス) @page42 id: 815e84f626 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - ぴぴさん初めまして。ぴぴさんの書く小説を読んで、見取り図とニューヨークが更に好きになりました!どの物語も本人の特徴を凄く捉えていてめちゃくちゃときめきます…!休止中とのことですが、もしまたぴぴさんの作品を読めたら嬉しく思います♪ (9月2日 14時) (レス) id: 869ad398aa (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴ(プロフ) - shiinonchanさん» いつも読んでくださりありがとうございます☻❤︎❤︎ものすごく理想の彼氏を私も反映させておりますゆえ趣味が一緒という事ですね!!!!そんな嬉しい事ばっかり言っていただけて嬉しいです(..◜ᴗ◝..)♩ (5月24日 9時) (レス) id: b6f7e28a9f (このIDを非表示/違反報告)
shiinonchan(プロフ) - こんな彼氏最高すぎます!❤︎なんかもぉ盛山さんがすごいリアルで本物の盛山さんもきっとこうなんじゃないかって想像できちゃうのですごく物語に入り込めて読んでて幸せです〜❤︎ありがとうございます❤︎ (5月21日 2時) (レス) id: ea4b977ca3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴぴ | 作成日時:2023年2月15日 1時