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タクシーの行き先はお寿司屋さんだった。
お寿司?と思ったけど盛山さんに着いて行く。
「あ、盛山です〜」
と、声をかけて入る店内。
私の知っているようなお寿司屋さんじゃなくて
ぴかぴかの店内に長ーいでっかいカウンター。
たくさんキラキラした切り身がケースの中に飾りのように並べられている。
もちろんメニューなんて無い。
「た、高いんじゃ…」
「見栄張らせて」
ポンと肩を叩く盛山さん。
席に座っても私はキョロキョロ。
「ほんまはAさんがあれ、なんや、インスタのやつ?行こうと思ったんやけど」
…私の行きたい店リストなんてこのお寿司屋さんに比べたら全然高級でもないし、見せたのが恥ずかしかったなあと思ってしまう。
「いつでも行けるやん?次でもいいし、
これからずーっと一緒なわけやし」
盛山さんは当たり前のようにそう言った。
ずっと一緒なんて言葉、嬉しすぎる。
「今日はおめでたい日やから、寿司!」
「記念日って事ですか?」
「そう!毎回やないからな!次はもっとしょぼいかも…」
へへへ、と笑う盛山さんは「何にしようかな〜」と嬉しそうだった。
「私、盛山さんと付き合えて嬉しいです」
「わはは、寿司に釣られてそう言うてる?」
「それもあります」
「お〜い!」
結局たくさんお寿司を頼んでお腹いっぱいになるほど食べた。
こんな美味しいお寿司は初めてだったけど、隣に盛山さんがいたからより美味しく感じた。
楽しい時間はあっという間だ。
「あー食った食った」
そろそろ大阪に向かう新幹線が最終の時間。
盛山さんと私はお寿司屋さんの前に呼んでいたタクシーに乗り込む。
「ご馳走様でした、ほんとに美味しかったです」
「なー!美味いよな!俺も先輩に連れてってもらってん。Aさんと来たいな思ってて…」
ぴたりと言葉が止まって
「…こんな早く連れて来れるなんて思わんかったわ」
私をしげしげと見つめて笑った。
「次は私が払います」
「なんで!彼女やねんから!」
「彼女だから、払わせてください」
そう言うと盛山さんは「彼女、そうやな、彼女…」と言葉を繰り返してニヤついた。
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天風あおい - ぴぴさん初めまして。今回の小説、盛山さんの魅力をこれでもかと詰め込んだくらいに素敵な小説で、読みながらキュンキュンしてました!本当の盛山さんも、きっとこんな感じなんだろうなって想像すると本当にドキドキしちゃいました。また読ませていただきますね! (2月10日 14時) (レス) @page43 id: ebcd75c8b8 (このIDを非表示/違反報告)
真央 - ぴぴさん初めまして、素敵な盛山さんにドキドキしながら読むことができました終わりが出た瞬間もう読めないって寂しく思いましたまた読ませていただきますねありがとうございました! (11月8日 2時) (レス) @page42 id: 815e84f626 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - ぴぴさん初めまして。ぴぴさんの書く小説を読んで、見取り図とニューヨークが更に好きになりました!どの物語も本人の特徴を凄く捉えていてめちゃくちゃときめきます…!休止中とのことですが、もしまたぴぴさんの作品を読めたら嬉しく思います♪ (9月2日 14時) (レス) id: 869ad398aa (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴ(プロフ) - shiinonchanさん» いつも読んでくださりありがとうございます☻❤︎❤︎ものすごく理想の彼氏を私も反映させておりますゆえ趣味が一緒という事ですね!!!!そんな嬉しい事ばっかり言っていただけて嬉しいです(..◜ᴗ◝..)♩ (5月24日 9時) (レス) id: b6f7e28a9f (このIDを非表示/違反報告)
shiinonchan(プロフ) - こんな彼氏最高すぎます!❤︎なんかもぉ盛山さんがすごいリアルで本物の盛山さんもきっとこうなんじゃないかって想像できちゃうのですごく物語に入り込めて読んでて幸せです〜❤︎ありがとうございます❤︎ (5月21日 2時) (レス) id: ea4b977ca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴぴ | 作成日時:2023年2月15日 1時