2 ページ3
.
朝の仕事のルーティン。
待合室と診察室の清掃をして
路面の建物だから入り口の周りを掃き掃除。
そのあと今日の予約を確認して前回のカルテを用意しておく。
「あ、」
私の推し、盛山さんの名前が1番早い時間の予約の欄にあった。
カルテを見るに銀歯の近くに虫歯があるようで数回通う予定らしい。
あ、結構年上。
住所も載ってるけど、流石に見たら結構きもいので見るのをやめた。
「あ、Aさん、こんにちはあ」
時間になると盛山さんは自動ドアからひょこっと顔を出す。
「盛山さんこんにちは」
「あ、名前覚えてはったんすか」
「盛山さんこそ」
「おばあちゃんが呼んでたでしょ、なんか、あ〜Aさんっぽいなあって思って」
盛山さんは大きな口で笑った。
ほっぺはまだ微かに腫れている。
「盛山さん、もうちょっと通うんですね?」
「そーなんすよ、ほっぺもまだ腫れて、写真撮る時こおっすよ、やから」
盛山さんは手をほっぺに当てて、女子高生のプリクラのような表情とポーズをして笑いを誘う。
「ふふ、可愛い」
「可愛えて、Aさん歯医者やなくて眼科行った方がええっすよ」
少し照れたような顔をして、診察券を出す。
盛山さんはこの前より、受付に近いベンチに座った。
もし彼が同い年か近い年なら、ちょっと気になっていた所。人の良さが声とか目に表れていてすこし惹かれる。盛山さんはなんだか目を引く人だ。
でも、先程の『結構年上』というのを思い出してため息をつく。
年のわりには以外に若く見える?とか
身長何センチあるんだろ、とか
無意識に盛山さんを見ていると
「そんな見られたら照れます」
と、盛山さん。
気づいていたようで顔を隠すように手で覆う。
「あ、ごめんなさい」
「いやええですけど。こんなオッサンなんぼ見ても。」
そう言って脚を組んで、眉間に皺を寄せてキリッとした表情をわざとする彼は、なんというか、面白い、いや、変。
「じゃあ見ますね?」
そんな流れで盛山さんと目を合わせてじっとみると
また照れ笑いし始めて。
「目え合わせたら照れるんで、目は見ちゃダメっす」
と、また手で顔を覆うのだった。
手で覆いきれなくて見えている耳は少し赤くて、本当に恥ずかしいようで。
「やっぱSっすね」
と呟いた声にまた私は、盛山さんの事が気になってしまうのだった。
.
230人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天風あおい - ぴぴさん初めまして。今回の小説、盛山さんの魅力をこれでもかと詰め込んだくらいに素敵な小説で、読みながらキュンキュンしてました!本当の盛山さんも、きっとこんな感じなんだろうなって想像すると本当にドキドキしちゃいました。また読ませていただきますね! (2月10日 14時) (レス) @page43 id: ebcd75c8b8 (このIDを非表示/違反報告)
真央 - ぴぴさん初めまして、素敵な盛山さんにドキドキしながら読むことができました終わりが出た瞬間もう読めないって寂しく思いましたまた読ませていただきますねありがとうございました! (11月8日 2時) (レス) @page42 id: 815e84f626 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - ぴぴさん初めまして。ぴぴさんの書く小説を読んで、見取り図とニューヨークが更に好きになりました!どの物語も本人の特徴を凄く捉えていてめちゃくちゃときめきます…!休止中とのことですが、もしまたぴぴさんの作品を読めたら嬉しく思います♪ (9月2日 14時) (レス) id: 869ad398aa (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴ(プロフ) - shiinonchanさん» いつも読んでくださりありがとうございます☻❤︎❤︎ものすごく理想の彼氏を私も反映させておりますゆえ趣味が一緒という事ですね!!!!そんな嬉しい事ばっかり言っていただけて嬉しいです(..◜ᴗ◝..)♩ (5月24日 9時) (レス) id: b6f7e28a9f (このIDを非表示/違反報告)
shiinonchan(プロフ) - こんな彼氏最高すぎます!❤︎なんかもぉ盛山さんがすごいリアルで本物の盛山さんもきっとこうなんじゃないかって想像できちゃうのですごく物語に入り込めて読んでて幸せです〜❤︎ありがとうございます❤︎ (5月21日 2時) (レス) id: ea4b977ca3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴぴ | 作成日時:2023年2月15日 1時