不器用さん。

明かさないで 6 ページ22

Aside




勝利が、警察官だって最初から気付いてた。


勝利は覚えてないかも知れないけど、私は勝利に助けてもらった事があるんだよ？

世の中には、こんなに素敵な人がいるんだなって思ってたんだから。

だから、私は勝利を。この道を渡りきらしちゃいけない気がするから。

A)……嫌だっ。

勝利だけ、勝手にいなくなったら。
せっかくまた会えたのに。
嫌だ。
私は、好きと言われたわけでも。
私が、好きと言ったわけでもないのに。
勝利が、今からしようとしてることは人として合ってても。
間違っているって思った。
けど、後ろから思いっきり抱き締める事でしか、勝利に表現できなくて。

勝利)離して。

冷たく言い放たれても、離したら絶対に行ってしまう。だから、よりいっそう強く抱き締める。

A)私、ばかじゃないから！勝利が本当は何だか知ってるんだから！嘘つき！

勝利)…………。A離して。

A)嫌だよ。

勝利)……俺だってさ。

そこまで言って私の手を強く振り払った。

勝利)Aに会わなきゃ、こんなに手こずらなかったんだよ。俺は、もっと早くAを好きにさせるつもりだったんだよ。……だけど本気で好きになった人には、時間かけちゃうだろやっぱり。

決まり悪そうに、俯く勝利。
その声が、泣きそうなのは私に期待していいって言ってるってこと？

A)……わかんないよ。どれが本当の勝利か。

そこまで言ったところで、勝利は私を強く抱き締めてから言った。

勝利)Aが大好き。

そして、勝利は優しく笑って私をトンっと軽く押して。









倉庫に向かっていってしまった。

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