主人公なら (ページ4)

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「駿佑は何の教科が一番やばいん？」

帰り道。

先に口を開いたのは私で、特に知りたいとも思わんことを駿佑に聞く。

これでちょっとでも私に好印象持ってくれへんかな。

私といて、苦痛じゃないって思ってほしい。

そんな思いが脳を占める。

言っても、前の駿佑を取り戻すための準備段階。

駿「数学かな。
解き方覚えれへんし、計算は間違えるしで。
計算遅いから見直しとかしてる時間なくて試験で点数取れへんし。」

「なんか分かるそれ。
先生とか見直しちゃんとしろって言ってくるけどしてる時間ないよな。」

駿「うん。」

そこで会話が途切れて、あーおもんないって下を向く。

駿「っAはさ、俺のどこが好きなん？」

私の機嫌を損ねさすのが怖いんか、口を開いたのは駿佑やった。

「どこって、全部？」

普通なら恥ずかしい台詞なんやろうけど、そんな感情は微塵もなくて。

言われた方も照れるもんなんやろうけど、そんな気配は感じられん。

駿「Aって狂ってるよな笑」

ほら。笑ってるやん。

「あのときのことも含めて好きやもん。」

駿「へぇー。」

そう言って笑う駿佑にも、私と同じ狂気が蘇ってきたみたい。

違うか。

駿佑の狂いは親譲りや。

私の狂いが、駿佑譲り。

おかえり、駿佑。

「じゃ、バイバイ。」

分かれ道。

私の家はすぐそこで、駿佑の家、アパートまでは100ｍもない。

改めて近くで育ってきたなって感じた。

駿「あ、待って。」

そうやって私を呼び止めて、どこで覚えたのかおでこにキスを落とす。

駿「A、あのことバラさんよな？」

そう言う駿佑の目は狂気に満ちていて、
あぁ、これでこそ駿佑やって。

10年間、あのことを知ってるからって私を怖がって避けてきた駿佑はもうおらん。

「駿佑が私の隣にいる間は、な。」

駿「久坂なんか興味ないから。
ホンマの俺を好きなんは、Aだけやもんな。」

やってさ。

ひーちゃん。

興味ないってよ？

「うん。」

そうやって、2人で悪い笑みをうかべた。