24,温泉旅行 ページ29
「あ、飲みもん買って来る」
「……金は？」
「針さん…」
無くしたら大変なので、針に預けておいたのだ。前一回、大金をなくした事があるのだが、心臓が止まった。プレッシャーに弱いのだ。
「はいはい。あげるよ。別に取る訳じゃない」
「てっきりゲスな笑いを浮かべるかと思ってたぜ。ありがと」
「言ってやろうか」
変な認識をしているAだが、冗談ではなく本気で思っている。そして、それを隠すことをしない。良くも悪くも素直なのだ。
「廻さんと針さんもいるか？」
「俺はいい」
「私も別に」
二人の回答を聞いてから、Aが部屋を出ていった。問題を起こさないでくれるのを願う。さて、部屋を出たAだが、自販機の場所が分からない。二人に聞くが早いが、馬鹿にされるのは嫌なので、適当に歩いてみる。結果的に更に迷う事になるのだが。
「し、仕方ねぇ。周りのやつに聞くか」
暴力型コミュ障、打ち解けるまでの所要時間約二秒。内心めっちゃ焦っている。
「悪い。自販機何処か教えてくんねぇか？」
「お…？あぁ、自販機ね。ここの自販機分かりにくい所にあるんよ」
Aが助けを求めた(大袈裟かもしれないが、本人の認識はそれである)のは、物腰の柔らかそうな女性だった。Aより少し年上に見える。
「案内しよか？」
「マジか！助かる」
親切な人に出会えて良かったと思った。人選は間違えないようだ。
「ほな、自己紹介でもしよか。私はサヤちゃんやで〜。よろしゅうな」
「私はAっつーんだ。よろしく」
「Aちゃんやね〜。かわええ名前やなぁ」
「か、かわ」
Aの反応を見て、微笑みながら可愛いを連呼するサヤ。もうやめてくれ…とAがげんなりするまで続け、自販機の前まで来て止める。
「仲良くなった記念やし、この後どっかでお話しでもせぇへん？」
「いいぜ。その前に連れに言ってくるわ」
「おぉ。ええよ。私は待っとるから」
サヤと別れ、Aが部屋に戻る。少し遅かったAは二人に「何か問題を起こしてないか」と聞かれた。あまりにも迫真だったので、少し悲しさが通り抜けたが、「何もしてねぇ」と返し、部屋を去った。じめっている空気を纏わせて、Aはサヤの元へ向かった……。
〜〜〜
えせ関西弁でお送りします。
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マリイ - 治崎廻大好き (2022年3月20日 16時) (携帯から) (
レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
いずでく - うわーーーーん！ (2019年1月8日 16時) (レス) id: c864c21ee8 (このIDを非表示/違反報告)
ねじる - 泣きました。。。良いお話です。でもこれ見ると、死穢八斎會の人達ってホントにヴィランなのかな？って思えてくるwww良いことですけどね！ (2018年12月9日 15時) (レス) id: b17a466711 (このIDを非表示/違反報告)
百聞(プロフ) - ゆうなさん» 泣いていただけるとは思いませんでした。ありがとうございます。感動していただけたことが何よりも嬉しいです。 (2018年4月29日 13時) (レス) id: c88b707ff9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - めっちゃ泣いてます………感動しました…素敵なお話ありがとうございました…！！！完結おめでとうごさまいます。更新お疲れ様です (2018年4月29日 13時) (レス) id: b1153871a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百聞 | 作成日時：2018年3月4日 21時
