21,温泉旅行編 ページ23
周りの人々は唖然とした。何故なら、さっきまで恐れていた脅威が、あえなく散ったからだ。それを可能としたのは、男と小さな少女だった。少女に至っては、何処にそんな力があるんだ、と疑問に持つような体型で、熊に食われる想像は出来ても倒す想像は出来ない程。
しかし少女は、そんな人々の心理など露知らず。息巻いて熊を見下ろした。まさに強者。圧倒的な力の前では、熊でさえも抵抗は出来ないのだ。
「さぁて。どうしましょーかねぇ。熊鍋か？」
「こいつ、生きているのか？」
今だけ。今だけは熊に同情出来た。心なしか、熊が泣いている様に見える。熊からはあの二人はどう見えているのだろうか。さながら悪魔にでも見えているのだろう。餌だと思っていた生き物に反撃され、挙句自分が餌になりそうになっているとは。
「廻、A。時間がない。宿に向かおう。熊はその辺に置いておけばいい」
いや、置いていかないでくれ。私達が通れなくなる。と人々は思ったが、その願いは届かなかった。人々の目には、三人の背中と、熊の大きな体躯が映っていた。
***
「いやぁ。まさか熊に絡まれるとは思わんかったなぁ」
「平穏に終わって欲しい」
早速胃がキリキリし始めた針だったが、これからの事を楽しむと決めた以上、肩を落としている訳にはいかない。今にもスキップをしだしそうなAを見ても、肩を落とす訳にはいかないのだ。
「もうすぐだ。少し見えてきているな」
「おー。あれか」
廻が前を見ながら知らせる。それにAが反応して、ぴょんぴょん跳ねた。楽しみで仕方がないのだろう。
「結構綺麗そうだなぁ」
「あぁ。結構新しめの宿らしいからな」
他愛のない話しをしていると、森を抜けて通りに出た。そして、高くそびえる宿を見上げる。
「高っ」
「もう時間だな。入ろう」
こうして一行は、一悶着あったが、無事宿に着いたのだった。
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マリイ - 治崎廻大好き (2022年3月20日 16時) (携帯から) (
レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
いずでく - うわーーーーん！ (2019年1月8日 16時) (レス) id: c864c21ee8 (このIDを非表示/違反報告)
ねじる - 泣きました。。。良いお話です。でもこれ見ると、死穢八斎會の人達ってホントにヴィランなのかな？って思えてくるwww良いことですけどね！ (2018年12月9日 15時) (レス) id: b17a466711 (このIDを非表示/違反報告)
百聞(プロフ) - ゆうなさん» 泣いていただけるとは思いませんでした。ありがとうございます。感動していただけたことが何よりも嬉しいです。 (2018年4月29日 13時) (レス) id: c88b707ff9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - めっちゃ泣いてます………感動しました…素敵なお話ありがとうございました…！！！完結おめでとうごさまいます。更新お疲れ様です (2018年4月29日 13時) (レス) id: b1153871a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百聞 | 作成日時：2018年3月4日 21時
