渡辺翔太の彼女は他担らしい

▽可愛い妹 ページ20

深澤 Side



次の現場まで時間があったから、1人で街をぶらぶら。

今日はファンの子たちにも見つかんないし楽だなー、なんて思いながら歩いてたんだけど。



『あの、深澤さんですよね？』



後ろから声をかけられて。

あー、やっぱバレちゃうかー、って思いつつ振り返ろうとしたら、



『私も深澤って言うんですけど〜』

深「いや、お前かよ」



そこにいたのは妹だった。



深「今日休みなの？」

『そう。辰くんは？』

深「次まで時間あるからブラブラしてたとこー」

『暇なら買い物付き合って！』



そう言ってニヤッと笑ったAに、俺にも似ているし、翔太にも似てきたなあと感じた。



そうして連れられてきたのは女物の服屋で、どうやらAは冬コートが欲しいらしい。



『何色買うか迷ってるんだよね』

深「候補は？」

『これかこれ』



そう言って手に持ったロングコートは、キャメルとネイビーの2色。

…うーんこれなら、



深「俺ならネイビーだけど、たぶん」

『翔太ならキャメル、でしょ？』

深「だなぁ」



長く一緒にいる間にAにつられて俺も翔太の好みがわかってきたらしい。

…別にいらねえんだよな、この力。


数分迷っていたAだけど、どうやら決まったようだ。



深「決まった？」

『うん。キャメルにする』

深「俺じゃなくて翔太を取ったのね」

『ネイビーもいいけどね！』

深「はいじゃあちょーだい」

『え』

深「買ってあげますよ、優しいおにーさんが」

『ほんとに！？ありがとう辰くん大好き！！』



そう言って笑うAはいつまで経っても可愛い妹だ。

…ま、康二はたぶんネイビーの方が好みってことは言わないでおこ。



.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す