記憶が消えるあの日まで、【歌い手】2

あの日から8日 ページ12

さとみside


ころんは無事に治療を終えて、病室に運ばれた。


そのとき、俺たちは医師さんに呼ばれて別室に
向かった。


…………大丈夫だといいけど。



そんな不安を抱えて部屋に入った。



な「………ころんくんは大丈夫なんですか。」



「………ええ、トラックとぶつかった後、うまく
トラックの下に入っていて、タイヤにひかれませんでしたので、右足を骨折しただけで済みました」



………………俺はよかったぁ、と言おうとした。



でも、これは喜んでいいのか。





右足を骨折した「だけ」


右足を骨折「してしまった」




どっちに捉えていいか分からなくて


俺は黙ってしまった。



でも、そんな中


なーくんとるぅとくんは泣きながら喜んでいた。




「よかったぁ。骨折しただけで。」って。



でも、俺は




右足を骨折してしまったころんを、



救うことはできたのかな、と後悔してしまう。









ごめん、ころん。









救えなくてごめん。

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