重い先輩と心配しすぎな後輩

78（Fukazawa side） ページ35

深「(ヒョコ)」


リビングへと続く扉を少しだけ開けて、ひょっこり顔を出して様子を伺う。

Aちゃんどこぉ？
おーい、どこにいるのぉ？


深「あれ、いない…？」


扉を勢いよく開けてみると、感じた通りそこにはAちゃんの姿はなかった。
あれ？ホントにどこ…？


深「Aたぁん…どこぉ？」


ん？眼鏡をしてなかったのでほとんど見えてない視界だけど…めちゃくちゃ目を細めてみてみるとソファに蹲ってる？


深「Aたぁん…ってあれ」


起きたのにまた寝てるのかい！わら
そんなツッコミを心の中で入れながら近づく。

…あれ？頬に手を滑らせて気づく。
なんで頬がうっすら濡れてんのよ。

まさか…1人で泣いてたの？


深「A？たつやくんだよ？おっきして？」


優しく揺するけど起きる気配がない。
なんで、さっきまで起きてたじゃん。

まさかこれ夢？
自分の頬を力いっぱい抓る、痛い。


深「A！起きて？ねぇ、たつやくんだよ？」


なんで、起きてくんないの。
なんで、1人で泣くの。


深「ﾊｧ…ﾊｧ…やだやだ、ねぇ起きてよ！」


このまま目を覚まさなかったらどうしよう、なんて考えてしまい勝手に苦しくなる。
ねぇやだよ？許さないって何回も何回も、耳にタコが出来るくらい言ったじゃん。

眠るAの前に跪いて、だらんとしている手を両手で包み込む。


深「ねぇってば…なんで起きてくんないの。さっきおれにクリーンヒット決めてたじゃん…ねぇ…」


夢じゃないならなんで目を…さましてくんないの。
違うよね？さっき頬をつねった時に痛かったのはおれの脳がバグったせいで起きた錯覚なんだよね？ね？

だったらこんな夢…早くさめてよ。
早く起きてよ、おれ。

やめて、おれがどうにかなる夢ならいいよ。

でも、お願いだよ。
Aにだけは手を出さないで。

天使なんだから…こんな目にあわせる必要ないじゃん。

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