幸せの見つけ方 (ページ10)

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10（T.F過去編3話）ページ10

元カノ。
俺としては綺麗な別れ方をしたつもりだった。

別れ話を切り出した時、向こうはいつもと変わらなくて素直に受け入れてくれた。
振られることを覚悟していたみたいだったから。

翔「俺はふっかとAが幸せならそれでいい、俺は…この気持ちに蓋をして祝福するって決めた。なのに諦めた結果がこれか？ふざけんなよ？」

翔太がAを好きというのは何となくわかっていたよくつるんでたし。例え他のことで翔太に負けることになってもAのことだけは負けたくなかった。

それくらい、俺はAのことが好きで好きで…。
愛しくて仕方なかった。

翔「手首切る前のAから電話でなんて言われたと思う？

『翔太くん、私今から馬鹿なことするけどごめんね？それから…辰哉くんのこと責めないでね？』

なんで、こんなことに、なったんだ？

なぁ………ふっか！！！」

泣きながら俺に訴える翔太に何も返せなかった。
何を言えばいいのか分からなかった。
そもそも、元カノがAに会っていたことなんて今初めて知らされたことだ。

やだよ俺。
Aが隣からいなくなるなんて絶対やだよ。
ねぇA…いなくならないよね…？
ずっと俺と一緒にいてくれるよね…？

辰「しょーた…今、Aの家？」

やっとの思いで絞り出した言葉だった。
今しなければならないこと。
それは翔太に、そしてAに謝らなければいけないと思ったから。

謝って許されることじゃない、それはもう痛いほど分かってる。
でも会いたい、会いたいんだ。

翔「…」

返事はなかったけど、多分そうなんだろう。

辰「今から…行くわ…」

翔「…っ」

何も言葉を発することはなかったけど俺には

「来るな、顔を見せるな」

そう言われているような気がした。
当たり前だそれは。

翔太やAに向けていた怒りは、方向を変えて何も知らなかった自分へ一直線。
…このまま怒りで自身が壊れてしまいそうになる。

けど1番辛かったのは…Aなんだよな。

なんでこんな大切な日に…。

渡すはずだったペアリングをそっとポケットにしまう。
何とかして自分を奮い立たせお会計を済ませる。

そして翔太とAのいる家へと走り出した。