9(T.F過去編2話) ページ9
翔「なに」
たった2文字なのになぜこんなにトゲトゲしく感じるのだろうか。
辰「いまなにしてんの?」
翔「ふっかさ、いくら平等に優しいからってこれはないんじゃねぇの?」
俺の何気ない質問には答えずになぜか怒られている。
は?何の話?
辰「なんのはなし?」
翔「Aと待ち合わせしてんだろ?だったら来ねぇよ」
翔太からなぜAの話が出てくるんだ?
ってかなんで俺とAの約束を知ってるんだよこいつは。
辰「は?なんでしょーたがそんなこと知ってんの?」
翔「今目の前にいるから」
思いがけない返答に戸惑いを隠せなかった。
本来俺との約束があったにもかかわらず、Aは翔太と会ってる?
辰「どういうことだよ」
声色がだんだん低くなっているのが自分でも分かる。
俺に内緒で翔太と会うAへの怒り、何より俺の彼女を奪おうとする翔太への怒りが感情を支配していく。
翔「前に言ったはずだぞ?Aを泣かしたらたとえふっかでも許さないって」
泣かした…?
本当に何の話だ?
辰「それは覚えてる。ってかさっきから何言ってんの?」
曖昧にぼかされ続けて、ただでさえ怒りで冷静に判断ができない。
翔太は何も言わずに沈黙を貫こうとしている。
俺はイライラがピークを迎えそろそろ限界が来そうだった。
翔「Aが手首切ったんだよ」
無音の中に低く放たれた言葉。
辰「…は?」
俺は自分の耳を疑った。
なんて言った?手首…切った…?
翔「言ってる意味分かった?分からないならもういっぺん言ってやるよ、自ら命を絶とうとしたんだよ…Aは!」
まさか…。
辰「…嘘だろ?」
翔「満足か?」
辰「…」
翔「別れてんのにお前は…元カノと何度も会ってたよな、お前にはAがいるのに。断りもせず何度も何度も会って…。
その元カノから『復縁することになったからさっさと別れてほしい。別れないなら…あなたには消えてもらうしかない。』って言われたAの気持ち、お前に分かるか?」
翔太から語られたことに俺は何一つ、言葉を返すことが出来なかった。
(過去編3話予定でしたが、4〜5話になりそうです汗)
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作者名:mimo | 作成日時:2023年2月11日 0時