40（F side） ページ41
翔「ってかマジで俺はもう見たくねぇーんだよ、誰かが壊れていく姿なんて」
また重いトーンで話を始める、もちろんギュッとシナモンを抱きしめながら。
大病を患った訳では無い、記憶が失われただけでAは生きている。
だけど翔太はAが『壊れた』と思っている。
それほどまでに翔太にとってAは大切な女の子だったことは俺も知ってる。
辰「ふは、俺は壊れたりしないから心配すんなって」
翔「…信用出来ねぇ」
辰「えぇ？ひどくねー？わら」
翔「…」
ありゃりゃ黙っちゃったよ。
翔「頼むから、もうあんな女と関わるんじゃねぇ…。復讐とかバカげたこともしなくていい。誰も望んでねぇーんだよ…」
懇願に近かった。
何をそんなに不安になることがあるんだろ。
それとさ、誰も望んでない…か。
知ってるよ、そんなこと。
辰「…少なくとも俺は望んでるけど」
翔「ただ傷つくだけだから」
辰「…翔太」
自分でもビックリするくらい声がひくかった。
辰「…いくらお前の頼みでも聞けねぇんだわ」
翔「ふっか！」
辰「翔太、俺の邪魔はするな」
翔「…っ」
きっと初めてかもしれない。
翔太に対してこんな自分を見せるのは。
あぁ言っとくけど、これはAが絡んだ時にしか見せないから。
翔「…先帰るわ」
感じたことの無い圧を感じたのか、それとも何を言っても響かないと諦めたのか、翔太は先にゲーセンを出ていった。
辰「…さぁて、そろそろ動きますかー」
ポッケに入っていたスマホを取り出してメッセージを1つ。
辰哉宮田くん、ちょっとだけ話したいことがあるで、時間のある時に電話ください。
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作者名：mimo | 作成日時：2023年2月11日 0時
