28(T.M過去編 1話) ページ28
俺には双子の姉妹の知り合いがいた。
…知り合い、なんて少し雑な言い方かもしれないけど、俺にとってはそれで充分なくらいに片方の彼女への評価は皆無に等しい。
…元は幼稚園、そして小中高と同じで家同士も仲良いから『幼なじみ』なんて言う関係だったんだろうけど。
姉の名前は
一卵性の姉妹、というだけあって顔は瓜二つだった。
所謂『可愛らしい』顔つき。
でも性格は正反対。
柚葉は傲慢で人をこき使うのが大好き、自分中心で自分が1番じゃなければ気に入らない、おまけに男あそびがありえないくらい酷い人。
和葉はお淑やかで自分のことよりも他人のことを優先する自己犠牲タイプ、いつも姉が原因で傷ついた被害者の怒りの矛先にされていた。
俺はこの職業に就く前からよく相談事をされるタイプだったから、素直に和葉の助けになりたいなと思った。
柚葉のことは申し訳ないけど、面倒だから関わりたくないと思うくらい。
・
俺が近くのコンビニでお菓子を買いに行った時の話。
端の方にあるイートインスペースで和葉が1人でいるのを目撃したことがあった。
何気なく声をかけたときに俺は驚きを隠せなかった。
和葉の頬には、明らかに殴られたような痕が幾つもあったから。
でも同時にそんなことをする人間の心当たりは1人しかいないことも気づいていた。
俊「和葉!?どうしたのそれ…」
和「あ、としくん…」
俊「…まさかアイツ?」
和「…っ」
沈黙は肯定と同じ。
俺が聞いた途端に組み出した腕。
自己防衛。
和葉を殴ったのは姉の柚葉なんだと確信してしまった。
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作者名:mimo | 作成日時:2023年2月11日 0時