幸せの見つけ方 (ページ27)

今日:11 hit、昨日:5 hit、合計:48,960 hit

27 ページ27

「ねぇ、お兄ちゃん」

健「なに？」

「お兄ちゃんはさ、私の記憶戻ってきた方がいいと思う？」

健「……どっちもあるかな」

ちょっとだけ間があったよね今。
そこも気になるけど、どっちもあるってことは…『思い出して欲しい』というポジティブな気持ちと『思い出してほしくない』というネガティブな気持ちが混在してるってこと…？

「思い出して欲しくないの…？」

健「無理に思い出すは必要はないんじゃかいかなって思うだけ」

お兄ちゃんの言葉で思い出した。
そういえば、カウンセリングのとき俊くんにも似たようなこと言われたっけ。

『それはそれでいいと思うけどね、記憶を全て思い出せることが幸せとは限らないから』

「俊くんにも似たようなこと言われたけど、どうして？」

健「みやっちも言ってたの？」

「うん」

健「…そうなんだ。」

お兄ちゃんが何を考えているのかまるでサッパリ分からない。
1つと言えることがあるとすれば、去年の冬に何かがあったということくらい…？

「お兄ちゃん…？」

健「なんでもない、今特に記憶が無いからって支障をきたすような事、起きてるわけじゃないでしょ？だから別にいいんじゃないかなって思っただけだよ？」

「そっか」

なんだろう、このモヤモヤは。
気にはなるけど、お兄ちゃんの対応の仕方からして今は触れない方がいいのかなと思って、そっとこの気持ちに蓋をした。

(次話から俺足紫さんの過去編5話です)