幸せの見つけ方 (ページ21)

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週1開催の『報告会』の日。
なんだか字面的には、偉い人たちの集まりみたいな感じだけど、実際は真逆なんだよね。

幼なじみのお兄ちゃんにこの1週間どんなことしたのかの報告をするだけなんだ。

LINEで毎日やってるような気がするから、必要あるの？なんて聞いてみればお兄ちゃんは真顔で

健「あるよ」

と即答。

…去年の冬以前の記憶がなくなってから、お兄ちゃんからの過保護？度合いが急加速している。

具体的には『門限の設定』とか『出来れば休日は俺が一緒という前提で外に出るなら出て欲しい』とか。

そんなに心配されることなのかな、なんて思うけど。

記憶が無くなる、自分自身で体験したとはいえよくわからないから説明しようがないんだけど。

土地勘は覚えてるんだけどなー。
でもやっぱり危ないのかな？
えぇでも、こんな感じになってから危機管理能力とかは上がってると思ったんだけど…。

だから始まって2分くらいで私の話は切り上げて、お兄ちゃんの話にシフトチェンジ。
(毎回似たような内容しか私は話せないから、という事もあって)

「お兄ちゃん好きな人とかいないの？」

健「急になに」

「だって彼女がいる気配ないから…」

お兄ちゃんは人並みにはモテる人だと思うんだ。
優しいし、モラルとかそういうのには厳しいから常識はあると思うし。

ただ、一度も彼女さんを連れているところを見たことがないような気がする。

健「いないよ、今それどころじゃないから。」

「え」

健「Aがちゃんといい相手と結ばれるまでは俺は誰かを好きにはならないよ」

お兄ちゃんの目が笑ってなかったから本気で言ってるんだろう。
いい相手かぁ、そんな人いるのかなぁ。

健「もうあんな思いをしない恋をしてくれれば、ね」

天井を見上げながら何かをボヤくお兄ちゃん。

「え？何お兄ちゃん」

健「何でもないよ、ってか俺の話はいいからAの話を聞かせてよw」

お兄ちゃんの一人言は私の耳には届かなかった。

だけどお兄ちゃんの目には一切の光がなく、それどころか一度も見たことがないとても暗い色をしていた。