17 ページ17
カウンセリング後、私はそのまま自宅へと着いた。
幼なじみのお兄ちゃんが近くに住んでるので、こんな状態ではあるけれども一人暮らしができている。
誰にも聞こえないため息をこぼしつつ、トートバッグに入れていた1冊のノートを取り出す。
少々汚れた水色の大学ノート。
表紙をめくると、それなりに読みやすい字で書かれた簡単な自己紹介が書かれていた、多分自分の字で私はこれをいつ書いたのか覚えていない。
そしてそこに書かれていた紹介は私のではなくて誰か他の人のもの。
「ふかざわ、たつや…誰だろ」
1番最初に書かれていた人の名前だった。
どんな人なのかなと思って読み進めると箇条書きでこう書いてあった。
・すごく優しい人
・クレーンゲームが大好きで出禁になったことがある
・自分よりも他人を優先する
・自他ともに認めるカッコイイ男
自分が書いたことなのに、実感が湧かないのは記憶がないからで特に自分が描いたふかざわさん？の似顔絵はちょっと壊滅的なことになっていた。
次のページをめくるとそこにはまた別の人の名前。
「わたなべ、しょうた…」
美容オタクにサウナ行くって、完全に幼なじみのお兄ちゃんと一緒じゃん。
今度教えてあげようなんて思いながら読み進めていくと、『シナモンみたいな人』という部分に目がいった。
「シナモン…ってあの時道を教えてくれた人？」
いやいや、まさかそんな偶然があるわけない。
きっと似てる人なんていっぱい…はいないか？
でももしあの人がここに書かれた人であれば、何となく点と点が繋がりそうな気がした。
ただ、似顔絵がまたよく分からない画風だから確証はないけれども…。
一旦、次のページをめくるとそこにはまた別の人の名前。
「いわもと、ひかる」
この人は先程の2人より1つ歳下みたい。
筋トレ、甘いもの好き、怖がりなんて書かれていた。
甘いものかぁ、チョコとかタピオカ好きなのかな？
似顔絵に至ってはダンベルになってるのは何wとツッコミを入れながらも読んでいく。
…とりあえずこの人はなんだかギャップがすごくある人なんだろうと感じた。
他にも色んな人の簡潔な情報がメモされていたけど、感覚的にひとつ気づいたことがあった。
「ふかざわさんって人のだけ、やたら細かくメモしてる…？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 204人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mimo | 作成日時：2023年2月11日 0時
