Skill (ページ14)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:19,292 hit

⑩ ページ14

【S.S side】

智くんが難しそうな顔をしながら、ラテに絵を描いていた。
この人は芸術関係と釣り関係は本当にすごい人だから、集中力もとてつもないんだよね。

おれはその姿を横目で見ながら、坂本くんが焼いてくれたアップルパイと長野くんが淹れてくれたラテを堪能していた。

そして堪能しながら、まだ途中だった新聞に目を通す。
おれたちの中で新聞を読む人はいることはいるけど、何社も読む人はおれだけ。

同じ内容でも微妙なニュアンスの違いがあるもの。
おれはそれらを読んで自分だったらこう考える、といったことをしているのだ。

新聞やニュースは貴重な情報源。
特におれたちは命を狙われてる身だ。
戦略を立てる上でも情報はあるに越したことはないからね。

______________________________

【H.N side】

このカフェに居る時間は本当に幸せな時間だなって思う。
平和な時間がこの店内には流れているから。

そんなことを考えていると、突然頭がズキンと痛み出した。

「…っ」

幸い誰にも気づかれていないみたいだったから、おれは我慢を続けた。
時折、襲ってくる頭痛。
理由は…多分あれしかない。

おれの『禁じられた能力』のせいだ。
それは『壊死』。
『治癒』という能力を持つものに必ず継がれる能力が『壊死』だ。

これを止められるのは坂本くんしかいない。
強力な能力ではあるが、おれ自身それを使っている間の記憶が喪失してしまう。

そして、それに伴うのが『頭痛』。
『壊死』という能力は定期的にどこか使わないとこうして『頭痛』を引き起こすのだ。

おれはそっと坂本くんの方を見る。
それに気づいた坂本くんはおれの目をみて察してくれたみたい。
付き合いが長いとアイコンタクトで会話ができるからありがたいよ(笑)

昌「あー、俺と長野で買い物行ってくるから店番頼んだぞ」

そう坂本くんは4人に伝えた。
おれの隣にきて小さな声で「早く終わらせるぞ」と行って扉の方へと歩いた。
おれも坂本くんのあとを追うように歩いた。