黒薔薇 (ページ16)

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⑦【G.M side】ページ16

あれから、20分ぐらい経った気がする。
俺はやっと店内に入ることができた。
外の寒さが嘘のように店内は心地よい暖かさで、でもスイーツたちが傷まない程度の温度であった。

俺はずっと、コーヒーをくれたさっきの彼女を探していた。
あの甘い香りはいったい何だったのか…。
すると接客に回っていたであろう彼女がパッと俺の方を見てきた。
俺は一瞬だけ目をそらした。
それはずっとみていたことを悟られないようにするために。

もう一度彼女の方を見たとき、まだ見ていたので俺は微笑みながら彼女に軽く頭を下げた。
すると、彼女も笑顔で挨拶してくれた。

その笑顔を見れた瞬間、俺はまたあの不思議な感覚に陥っていた。
そう、あの香り…外で待っていた時に、彼女から香ってきたあの甘い香り…。
俺は店内で眩暈を起こしそうになった。
周りを見てみれば、誰一人としてそんなことを気にしていない。
むしろ、全員幸せそうな顔でスイーツを楽しんでいる。

何なんだよこれ…。
けど、1つだけ言えることはその2回とも…。

『彼女』と関わったときであるということ。