黒薔薇 (ページ15)

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外のお客さんたち、寒そうだし早く中に入れてあげたいな…。
そんなことを思いながら私はレモンタルトをまた作り始めた。

パパ「繁盛しすぎだ(笑)まぁこれもAのレモンタルトのお陰だな！」

A「いやいや(笑)」

パパ「いや、その通りなんだぞ？さっきから、レモンタルトの注文が多いからな(笑)」

言われてみれば確かに、レモンタルトの消費が激しいというか激しすぎる気はするけど…。
あ、そういえばこの店って常連の中でも特に通ってる人にはメールが来るんだっけか…。

パパ「だから、Aには感謝だな！」

A「は、繁盛してよかったね(笑)」

私は引きつった笑みを浮かべながら、パパにはそう伝えた。
繁盛するのはとてもいいことだけど、繁盛しすぎると大変なんだよね(笑)
仕入れの時間とか無くなることがごく稀にあるし(笑)

しばらくしてから、最後尾までのお客さんが全員入れたみたいで店内が満杯な状態になっていた。
私は一段落着いたので、接客業に回っていた。

すると1人の男性が私のことをずっと見ているような気がした。
ふとそちらを見ると、その男性はすぐに目を逸らした。
でも再びこちらを見て微笑みながら、挨拶してきた。

私は笑顔で挨拶をし返した。